竹内銃一郎のキノG語録

切な過ぎるゾ。2017.01.21

ブックオフの買取値段、約250冊で約12000円。一冊50円。泣けるゥ。文庫や新書もかなりの量あったのだが、それにしても。学生時代、引っ越しのたびに蔵書の半分を売っていた。が、買った値段の十分の一以下でしか売れないことが分かり、また、あとで売ってしまった本が必要となって再度買う破目になったことが幾度か重なり、もう二度と売るまいと決めたのだったが …。ブックオフの安さを実感して、今度は出張買取をする別の古本屋に電話する。蔵書の内容はと聞かれて、売る予定250冊の半分くらいは文学関係の本だと答えると、小説は売れないんですよと。やっぱり。わたしももうほとんど小説は読まないので大量に売ることを決めたのだが。毎年発表されている「本屋さんが選んだベスト1」は、大体、小説が選ばれているし、又吉の小説が200万部売れたとニュースになったりしたが、ほんとかね、誰が買ってるの? 先日、Amazon経由で買ったあるひとの小説の文庫本、な、なんと1円! これが現実だ。切ないゾ。

と、書いたところで、卒業生の北出さん(旧姓)から電話。久しぶりになんの用かと思ったら、同級生の和氣さんが亡くなったという報せ。ショック。和氣さんは、大学卒業後、女性落語家として、露の雅(みやび)という芸名で活躍。一度だけだが、一門会を見に行ったことがある。わたしの芝居にも何度か足を運んでくれた。研究室にも何度か顔を出し、かなり深刻な悩みも聞いた。なので、彼女が亡くなったと聞いた瞬間、「自殺」の二文字が頭をよぎったが、死因は、急性虚血性心疾患だった由。彼女は学生時、奇妙な味の戯曲を書いていたので、自分で新作落語を書いたらどうかとアドバイスもしたのだったが …。まだ35歳。これからだったのに。切な過ぎるゾ。

北出さんからヤフーニュースでも出ていると聞き、見ると確かに。しかし。彼女の死に関するツイッターの多くはひどいもので。関係のない輩(多分)が寄ってたかって笑いものにしている。<ゲスの極み>とは、こういう奴らのことを言うのだ。哀しさが増した。

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