竹内銃一郎のキノG語録

ぬすみ上手も 芸のうち 2017.06.27

先週の火曜であったか。「集成Ⅲ」の台本を作っていたら、PCの画面が突然消えて、停電か? と思ったが、さにあらず。PCが壊れてしまったのだ。10年ほど使っていて、キーの文字の幾つかも消えかけていたので、そろそろ替え時かなと思っていたところなので、新しいものを買ったはいいが、それからが大変で。ウインドウズのライヴメールが使えなくなっていたり、ブログを開ける際のパスワードを忘れてしまって開かなくなったり。いまも、「あかなくなったり」を漢字変換したら「垢亡くなったり」となる始末。ああ、疲れる。くそっ。いまも「つかれる」と打って変換したら「着かれる」と出やがった。「お前はバカか~!」。ワープロが出始めたころ、この種の「おかしな変換」をネタにして、エッセーだの戯曲だのを書いてたひと、結構いたなあ。

この間にも「竹内銃一郎集成」の上演準備は粛々と進んでいて。先にも書いたように、「集成Ⅰ」の上演がまだなのに「集成Ⅲ」の台本がほぼ出来上がっているという、なんという仕事の速さ(「集成Ⅱ」はもちろん完了)。楽しいのです、まったく関係のない複数の戯曲の一部を切り取り繋いで一本の作品に仕立て上げるという作業が。自分のホンをオモチャにして遊ぶのが。こんな作家、他にいるのかしら? (オタクぽい? 確かに)でも。関係ないといってもひとりの作家が書いたものだし、これまでも、例えば「月ノ光」なんて作品は、カフカが小説や日記や手紙に書いた言葉の引用によって出来てる作品ですし。他にも、「三人姉妹」と「リア王」を足して2で割った「ひまわり」とか、同様の方法で書いた作品、多々あり。因みに、「集成Ⅲ」はタイトルを「チェーホフ流」(仮題)とし、チェーホフの小説や戯曲を下敷きにした、「氷の涯」「みず色の空、そら色の水」「オカリナ Jack&Betty」「ランドルト環」を収めている。

この二週間ほど、中井久夫にどっぷり。今回のタイトルは、文藝別冊の「中井久夫」に収まっている、中井が作った「研修いろは歌留多」の「ぬ」として書かれたもの。わたしのために作られたみたいで、笑っちゃいます。他にも、「年を取るのも 一功」「つんどくも 勉強のうち」「躁もいっとき 鬱もいっとき」「こまったら 聞けばよい」等々、すぼまった肩をぽんと叩いてくれるような、思わず笑ってしまうようなもの、多々あり。

ついでに。このサイトの「リクエスト」を経由して、「上演の予定はないのですが、データを送っていただけますか」という、まことに奥ゆかしいメールが時々送られてくるのですが、もちろん、OKです。何度も繰り返し書いていますが、戯曲を読んでいただけるだけでわたし、望外の幸せなので、遠慮なさらずどんどんリクエストして下さい。今年の10月に上演予定の「夢ノ旅路 竹内銃一郎集成Ⅰ」の台本も、ご希望があればデータ、送ります。

 

 

 

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