竹内銃一郎のキノG語録

みんな蔑みあってる いまどきのテレビ②2010.09.30

昨日の続きです。そう、池上彰の番組の話でした。 多分、彼の番組はみんなそんなことになってるのでしょうが、彼がいて、進行役のタレントがいて(この間は、クリームの上田と滝川クリステル)、ひな壇にズラッと芸人・タレント、最上階に外人さんたちが並んでる。 外人さんたちはさておき。ひな壇のひとびと、いるの? 教室の体裁をとりたいから置いとくわけですか? そう、ほんとに置いてるだけ。だから、極端な話、人形でもいいわけ。いや、精巧に出来た人形を20体ほど並べて、頷いたり、首を捻ったりさせたほうが芸人たちを並べておくより、ずっと気が利いてるのじゃないか、と。 だって、芸人でなければならない理由はなにひとつない。鋭いツッコミを入れることもなく、ただ、「へー」とか「ほー」とか言ってるだけなんだから。彼らに「俺は芸人だ」というプライドはないのでしょうか? ないのでしょうね。 ほんとは一般の観客で十分なのに、それだと絵的に寂しい、だから、ひまそうなやつ等を並べておこうと。早い話、ここでも池上彰に丸投げしてるわけですね。彼が出て話せばそれだけである程度の数字とれるし、なんとなく知的なことやってる感じがあって、世間の良識ある人々から褒められそうだし、余計なことしなくていいんじゃないのと、こういう感じで番組を作ってるんでしょう、おそらく。 なんかね。あっちでもこっちでも、みんなお互いを、いや自分自身さえも、蔑みあってる、そんな感じがします。 客なんて、視聴者なんて、この程度で満足するわけでしょ。テレビなんて、映画、芝居なんて、こっちは、ま、暇つぶし、時間つぶしなんだから、そんな過大な期待なんかしてませんよ、ちょっと泣かせてくれたら、笑わせてくれたら、それで十分なんです、etc. 一方で。妙に過剰にスポーツ選手が持ち上げられたり。イチローの200安打をニュースのトップに持ってきていいんでしょうか? 200安打ったと言ったって、40%は内野安打なんですよ。そりゃ、36歳にもなるのにいまだに脚力の衰えを知らないかのような、その事実には驚きもし尊敬もするわけですが。 ついでなので、先週の日曜日にやってた「漫才レジェンド」にも触れておきましょう。現役の若手漫才師たちが、かっての古典と呼んでいい漫才ネタのカバーするというのは、とてもいい企画! と思ったのでした。実際やられた漫才もみんな悪くはなかったのですが、決定的に元の漫才と違うのは、時間ですね。ダイマル・ラケットのボクシング漫才も、彼らは10分20分とやったはず。ふたりともヘロヘロになって、他愛もない言葉をぶつけあってる。想像するだけで笑えます。Wヤングの駄洒落漫才は、実際に見てるから知っていますが、こっちも10分20分とあって、その長い時間、ずっと駄洒落を言い続けてる。その下らなさを笑っていたわけです。多分、いまの若い漫才師たちは、それだけの時間を持たせられないし、観客もジワジワ来る笑いを待っていられないでしょう。やんぬるかな? あ、キング・オブ・コント、わたしの採点ではじゃるじゃるの圧勝です。ネタでいちばん笑ったのは、しずるの「シナリオ通り」でしたが。じゃるじゃるの「おばはん」連呼には少し感動しましたし、おばはん役の子は、芝居がうまいのに感心!

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