来たれ「小渕優子観劇会」の皆々様 A級M「Moon guitar」の初日の舞台2014.10.24
「不明朗会計」問題で記者会見に臨んだときの小渕優子はきれいだった。STAPの小保方さんもそう。土壇場に追い込まれたときの女性の概ねは、顔がぐっと引き締まり、それが「きれい」と思わせるのだろう。それにひきかえ男の方は。例の、会見途中で泣き出した、兵庫県議などその典型だが、概ねだらしない。会社のトップなども大体が青菜に塩状態になってしまう。佐村河内氏もなんと往生際の悪かったことか。生物としての底力が女と男では基本的に違うのだろう。
それはともかく。小渕後援会の観劇会の対象になっていたのが、小林幸子、梅沢富美男、天童よしみ等々の舞台だったと聞くと、やはり切ない。会員の方々に「なにが見たい?」とアンケートを取れば、おそらくこういう演歌系のひとの名前が挙がるだろう。そして、劇場の方も、こういう方々の団体動員をあてにして、劇場のラインナップを組んでいる。これまでも多分これからも永々と続くであろう、こういう構造が哀しい。そして、この変わらぬ構造とこの国の政治とが分かちがたく結びついているであろうことは、もっと哀しい。この観劇会に参加した女性たちに見終わった後に感想を聞けば、おそらく大半のひとは「楽しかった」と口を揃えて言うだろう。確かに、舞台も、彼女たちの期待に沿ったものを提供したのだろう。しかし、その「楽しさ」から、彼女たちはいったいなにを得たのだろう? 彼女達が感じた「楽しい」は、結局、現状肯定的なものだろう。天童よしみの歌を聴いて、「元気をもらった」というひとも少なからずいるだろう。しかし、その「元気」は、決して自らの更新を促すものではあるまい。政治家・小渕優子は、彼女たちに「楽しいひととき」を与えれば、それで十分と思っているのだろうか? だとしたら、実際彼女がなにを考えているのか知らないが、憂うべきこの国の状況は変えようがない。それでいいのか?
A級MissingLink「Moon guitar」の初日の舞台を見る。上演時間は90~100分くらいだと聞いていたが、受付で2時間を超えると聞いて驚く。見終わって。なんの予備知識もなく接すれば、多分そんなに長いと感じなかったかと思うけれど、幸か不幸か、わたしはホンを書いているので、ああ、あそこはもっとサクサク行けば、などと思ってしまった。しかし。わたしが演出をしてたらこんな風には出来なかっただろうと思わせた、見所多々あり。中国からの留学生・あんなが、ギター職人・角中に殺しを依頼し、殺しの具体を伝授し、それがラヴシーンに変り、更に、角中が帰ったあと、あんなが彼女の愛人・リュウと、小津の映画「晩春」のワンシーンを演じて遊ぶシーンはかなり上等に出来てる。ま、ホンもうまく書けているのですが、俳優陣も頑張っているし、演出も考え抜いていることが分かる。他にもいろいろ気に入ったシーンはあるのですが、これから見られるひともいるかと思うので、それは見てのお楽しみ、ということで。
終演後、演出の土橋くんには上演時間の長さのことと、それから、予算がもう一桁あったらもっと面白くなったと思う、というようなことを伝えた。現在の公演予算に0をもうひとつ足すためには、観客動員数の0をもうひとつ足さなければならない。「後援会」の方々が数台の貸切バスを連ねて大挙して押し寄せてくれたら、それは可能なのだけれど。そんな日はいつになったら来るのだろう?