竹内銃一郎のキノG語録

転がる先は分からない  ダイアンの面白さについて2015.02.24

地域創造の大垣さんから「坂の上の家」のチラシが届く。

もう3週前になるのか。この公演に出演していた水沼さんと、舞台美術を担当していた奥村くんが、近大卒業生の高坂ともども我が家に遊びに来た折、チラシは手元にないかと聞いたら、ないと言う。やはり出演者であった保にもメールをしたのだが、こちらも同様の答え。やっぱり男はあてにならないなと、当時はOMSにいて、この公演の制作を手伝っていた大垣さんに連絡したら、あれこれ手を尽くして頂いて。感謝!

それにしても。その後、近大に勤務し、まさか京都に住むようになろうとは、この時は思ってもみなかった。実に、人生はどこへ転がっていくのか分からない。

一昨日の日曜。東京の最終レースで、ずっと追いかけていたナリタハリケーンが単勝万馬券、3連単180万という大穴をあけたにもかかわらず、それをムザムザ取り逃がし、しばし呆然。その状態のまま、競馬中継の裏でやっていたので、録画しておいた「漫才Lovers」を見て、ダイアンの漫才で覚醒する。ご披露された演目は、以前にも見たことがある「ペンション」。ボケの西澤が経営するペンションへ、ツッコミの津田が客としてやって来るという設定。

ボケ① 津田がやって来ると、西澤が「遠いところからわざわざ。お疲れでしょう」津田「全然疲れてないですけど」西澤「ミャンマーから来られたんでしょ」津田「違いますけど」「ミャンマーの政府関係の方でしょ」津田「違います違います」 ボケ② 津田「こちらの経営者の方ですか?」西澤「そうです。お客様はみなわたしのことをパパさんと呼んでくれます」津田「いいですね、家族的な雰囲気で。わたし、そういうところに泊まりたかったんです」西澤「パパさんと呼んでいただくと、宿泊料が90%オフになりますんで」津田「なに、それ! 普通料金だと幾らなんですか?」西澤「4千円です」津田「え、パパさん言うと400円! それでやってけるんですか?」西澤「無理なんで、実家から仕送りして貰ってます」津田「歳、幾つなんですか?」西澤「58です。家の方には大学に行きながら、バンドをやってると言ってるんで」 ボケ③ 津田「なんかイベントとかやってないんですか?」西澤「羊の毛を刈るいうのがあるんですけど」津田「いいですね。羊がいるんですか」西澤「ええ、ピンクという名前の羊が一頭」津田「一頭! そんなんみんなで刈ってたら、もう毛ないとちゃいます?」西澤「ええ、だからもう羊だかなんだか分からへんようになってますけど、でも、バリカンを強くあてたら1ミリくらいは刈れます。もう赤い地肌が見えてますけど」津田「それでピンク?! 可哀そ過ぎるわ」西澤「あと、乳搾りも出来ますけど」津田「牛もいてるんですか」西澤「いえ、羊ですけど」津田「もしかしたらそれも?」西澤「ピンクです。でも牡なんで、搾っても乳は出えへんから、さわるだけで」津田「ピンク、働かせすぎや!」 ボケ④ 西澤「夜の10時から演芸大会もやってます。わたしが落語やります」津田「いいです」西澤「絶対笑わせますんで」津田「いいです」西澤「出るの、わたし以外にもいるんです」津田「まさか」西澤「ピンクです」津田「昼も働かせて夜も働かせて、少しくらい休ませたれよ!」西澤「羊なんで喋れないんで黙って座ってるだけなんですけど、7分くらいすると笑えてきますんで」

むろん、かなり省略して書いたが、西澤が書いているらしいネタの面白さの一端はうかがえるかと思う。刈られ過ぎて毛がなくなった羊に「ピンク」と命名する(羊だけにメイメイ?)センスもなかなかのものだが、そのピンクが演芸大会で …というあたりが彼の真骨頂だろう。ひとつのボケが思わぬ方向に転がっていくのだ。

まだまだ書きたいことは山ほどあり、続きは次回に。

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