竹内銃一郎のキノG語録

癒されたい 大澤真幸『生権力の思想』と『小説修業』2013.02.28

この10日ほど、体調がよろしくない。激しい咳は幾分おさまったが、咳のせいで熟睡出来ず、
微熱もあるようで、日中もぼんやりしている。
わたしはほとんど病気と言うものをしない。だから、今回のような状態に陥ると、このまま死ぬんじゃないかと思ってしまう。
まあ、この歳だからからだのどこか、ひとつやふたつは悪いところがあってなんの不思議もないのだが。

大澤真幸の新刊『生権力の思想』(ちくま新書)を読む。もしかしたら、体調不良に陥ったのはこの本のせいかもしれない。まことに論理明晰で、わたしなど容易に理解しえないはずの問題がさくさくとアタマに入ってくるように書かれている。まるで手品でも見ているよう。で、結果としてわたしのアタマは、容量をオーバーする言葉や情報が詰め込まれて、パンクしてしまった、と。
書いている大澤氏は大丈夫だろうか。切れすぎる包丁はアブナイというけれど。
手元に読む本がなくなり、「小説修業」を手にする。小島信夫と保坂和志の往復書簡をまとめたもの。先週、ひさしぶりに会った岩松さんから、小島信夫の名前が出たので、それでもう一度読んでみようと思ったのだ。読むのは10年ぶりくらいか。小島信夫の手紙は小説と同じで、正直のところ、なにを言ってるのかわたしにはよく分からない。分からないけど、読んでいて楽しい。疲れないからいつまでも読んでいたくなる。痛んだアタマには最適だと思う。

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