竹内銃一郎のキノG語録

松本人志(=自称笑いのプロ)とはあいまへん。2016.12.06

録画しておいた小野田版「大鴉」のアタマの部分を見る。秘法で85年に上演したものの一部が流され、俳優3人が若いのに驚く。30年前だから当たり前だが。その中のひとりである小田さんとは先々週、伏見で会ったばかり。芝居の稽古でしばらく前から京都に来ているのだ。喫茶店でおっさんふたりでお喋り4時間。こんなに話が出来るのは共有するものがあるからで、それが嬉しかった。

昨日、九条のシネマ・ヌーヴォへ「映画監督黒木和雄~」を見に行く。受付で、一般公開ではなく試写会だと知らされて、アララと思う。前回のブログを読んで出かけようと思っているひと、出かけられる前に関係者でなくても大丈夫かを映画館に問い合わせて下さい。来年の1月いっぱい、この映画館で黒木和雄特集が組まれていて、その中にこの映画も入っています。映画の内容は、タイトルからイメージするものと若干違いがあって …。わたしの登場時間は2、3分といったところか。わたしの出演部分を撮影したカメラマン氏と会い、さらに、映画館の代表・支配人氏とは、以前に「山中貞雄忌」でお会いしていると氏から聞かされ、これまたびっくり。

日曜に行われたM1(録画したもの)を見る。出場者の顔ぶれからあまり期待していなかったが、想定した以上の面白さ。決勝に残った3組のネタは、どれも巧妙に作られていて感心する。とは言え。去年の優勝者であるトレンディ・エンジェルほどワクワクさせてくれるコンビは皆無。みんな、トレ・エンのような華がなく斬新さもなく。漫才の枠から外れないお行儀よさで。どれも、これまで何度も見た<うまく出来た漫才>の巧妙なアレンジなのだ。漫才や落語等の「演芸」と称されるものは、同じネタを何度も繰り返し見せることが前提になっているはずで、つまり、何度も見たい、何度見ても面白いものでなくてはならず、しかし、彼らのネタをもう一度見たいか、見て同じように笑うかと自問すると、? が幾つも頭に浮かび、ということは、彼らの漫才は、わたしの定義(?)に従えば、残念ながら漫才ではないのだ。

一か月ほど前の「キング・オブ・コント」はまことに退屈極まりないもので、ライスというコンビの優勝がそれを如実に物語っている。M1もこっちも、松本人志が審査委員長的な地位にいて、彼の推しが結果的に、ライス及び銀シャリの優勝につながっている。ずいぶん以前にこのブログでも書いた記憶があるが、松本は自らを「笑いのプロ」だと称している。マジか? 彼が出演している「タウンワーク」のCMを見るたび、わたしは「サブッ!」と思うのだが、あれをプロの仕事だと自負しているのだろうか。なにひとつ面白くない審査のコメントも含め、彼の<笑い>に関する見解にわたしはまったく同意できない。もちろん、わたしは「笑いのプロ」でもなんでもないのだが。

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