竹内銃一郎のキノG語録

ネタの話2011.03.22

物語(めいたもの)を書くことが常態になっていると、ネタは探さなくてもむこうからやって来る。だから、芝居なんぞやめてしまおうと思っていた5年間は、ほんとにナ~ンにもなかった。
再始動して今年で2年目。やっと調子が戻ったみたいだ。昔みたいに、街を歩けばネタに当たる。
ネタ1
東京の住まい近くに、興味を惹かれる二人組のお婆さんがいる。ふたりはいつも一緒だ。背格好、服装、歩くスピード、似ているけれど、でも微妙に違う。双子ではないかと思うけれど、その微妙な差異が気になるし、肝心の顔がよく分からない。なぜか。腰が直角に曲がっているから下から覗きこまない限り、分からないんですよ。
ネタ2
昨日のこと。近鉄車中で、通路を挟んでわたしの向かいに座った、40台と70台、ふたりの女性の会話に笑う。
芸能人やスポーツ選手の義援金の金額についての話題。阪神の誰やらは、150万だと40台が言うと、いや、1千万のはずだと70台。この攻防の後に、70台「ナムロは5千万やろ」40台「安室やけどな」「そうそう、ナムロや」「ナムロやなくてアムロナミエや」「5千万やで。まだ若いんやろ、ナムロて」「アムロやけどな、苦労してんねん」「久米宏は2億やで」「あそこは子供おれへんから。残す必要ないから」「そいでも偉いわ」「財産あんねん。半分出したとしても、まだ2億残ってるわけやろ」「半分も出してるかいな。出してへん、出してへん」
ネタ3
今日のこと。学校からの帰り道。むこうから自転車に乗った中学生5、6がやって来る。女の子は多分ひとり。わたしとすれ違って間もなく、いきなり、兎追いしかの山~と言う歌声が。振り向くと彼らだった。見事なハモリ。なんだか懐かしい思い出の青春映画のワンシーンみたいで、胸がキュンとなった。誰だったんだ、きみたち。

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