竹内銃一郎のキノG語録

イジメに悩む子等よ、「ファンタスティック ミスターフォックス』を見れば勇気が出るゾ2012.07.10

ヌッ、しばらく見ないうちにこのブログの<お客さま>数が2万を超えていた。
始めた頃、3年位前か、500を超えたァなどと、今はドラボを辞めて真面目にサラリーマンをしている河田が自分の手柄のように騒いでたことを思うと、まあこれは大変な数字で。
ありがとうございます。
いまさらマスコミ批判も虚しいが。このところニュースでは連日、大津で起きた中学生の自殺問題を大きく取り上げられている。女性の市長がマスコミの取材を受けて泣いたりなんかして。
改めて言うまでもなく、マスコミの基本姿勢は、強いものに巻かれろ、尻馬に乗れ、弱そうなヤツは叩け、である。これはいまに始まったことではないと思うが、ここにきてこれらが目に余る。
この自殺事件をめぐる取り扱いなどそのいい例である。
確かに、学校や教育委員会の対応もよくないし、いじめた(らしい)やつ等もそれを周りで黙って見ていた同級生等も、ま、救いがたいバカタレだが。
申し訳ないけれどはっきり書く。中学生や小学生が自らの命を絶つのは、分かりやすく言えば、今日を生き延びたって明日いいことがあるとは思えないからだ。そして、そのことを打ち明ける相手、受け止めてくれる相手が周りにいないという孤立感を抱えていたからだ。
なんでそうなる? 問題ありなのは、本当は親・家庭・家族じゃないの、学校や教師じゃなくて。
昨日のニュースで、埼玉だったかの小学生が自殺して、亡くなった子供の両親が、いじめが原因じゃないか、学校の管理不行き届きで起こったことではないかと裁判に訴え、それが敗訴して、納得いかないと記者会見に応じる様子がテレビに映っていたけれど。
申し訳ないですけど、お顔も声もとても弱弱しくて。お父さん曰く、亡くなった子はとても優しい子で、クラスメートの悪口など言うような子じゃなくて、みたいなことを話していたのだが、その子が話さなかったのは、ご両親に心配をかけたくなかったからで、ということは、そういう話をガッシと受け止めて「許さん!」と拳を振り上げるようなたくましい親だったら、子供も話をしたんですよ、多分。年端もいかない子供にそんな気を使わせてどうするんですか。あなたたちに話が出来たらその子は死なずにすんだんですよ、多分。
学校や教師はどうしようもないと言っておけば、自らのアリバイ作りになる。マスコミはね、そう思って調子こいてなんやかや言ったり書いたりしてる。
その代表が尾木ママなんて言われて明らかに舞い上がって醜さをましてるアイツ。学校はイジメを認めると、評価が下がって云々みたいなことをしたり顔で言ってた。確かにそういう事情はあるのだろうが、なんだろう、対岸の火事を論ずるみたいな感じでムカツク。
久しぶりに蓮実重彦の映画本を読む。その中で激賞されていた「ファンタスティック ミスター・フォックス」をたまたまWOWOUでやっていたので見たら、これが面白い!
タイトルからも分かる通り、主人公はきつねで、だから当然のようにファンタジーなんですけど。
詳しくは書かない。簡単に記す。きつねを中心にした小動物たちと悪辣な人間どもとの激しくもユーモラスな闘いの記録なんです、これは。
とてもいい。笑える。泣ける。スピード感と情感に溢れてる。人形劇なんですけど。
主人公のきつねの顔が可愛くないから、自らを可愛いと思ってるアニメファンなど見向きもしないだろし、見てもこの映画に終始流れるダンディズム=かっこよさなんてまるで分からないだろう。
主人公とその奥さん、主人公とそのちょっと変わった息子の関係がとてもいい。
主人公は自分(たち)の野生を忘れてはいけないと繰り返す。
ナイーブな心性の少年少女を持つご両親たちには、ぜひ見ていただきたい映画だ。

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