竹内銃一郎のキノG語録

ご挨拶 授業公演『ら抜きの殺意』パンフ用原稿2012.12.16

今週の木曜から日曜まで、担当している実習授業の発表会があります。
開演時間は、20日(木)、21日(金)が、19時。22日(土)は、14時と19時。最終日の23日(日)
は14時のみとなっています。
場所は、大学構内10号館8Fにある演劇実習室。
出し物は、永井愛さんの「ら抜きの殺意」です。
以下は、当日配布されるパンフ掲載用の文章。
ご挨拶
本日ご覧いただくお芝居は、ことばをめぐってのサスペンスコメディです。
キャスト表にありますように、ひとりが複数の役を演じ、また、ひとつの役を複数が演じます。更に、男性が女性を、女性が男性を演じたりもするので、あるいは混乱されるかも知れません。これは、登場人物8人の芝居をその倍の出演者で演じるための窮余の策ではありますが、むろん、理由はそれだけではありません。確固たる<わたし>への懐疑、性差の垣根が低くなった現状の確認等々、挙げればほかにも幾つかあるように思いますが、なにより、「とりかえ」は、わたしの好きな古来よりある演劇の楽しい手法のひとつだからです。
ところで。先日、京須偕充の『とっておきの東京ことば』を読んでいたら、次のようなことが書いてあって驚きました。「お疲れ様」ということば。本来は、夕方、出入りの職人が仕事をおえて引き上げる際に、親方や棟梁、あるいは仕事先の旦那が言うせりふで、だから、目下である職人のほうから目上の親方や旦那に「お疲れ様」などと言うのは、ありえなかったのだ、と。なるほど。ひとの顔を見ればまるでそう言わなければならないかのようにこのことばを口にする学生に、時にイラっとしたりするのは、こういう理由もあったのだ。
竹内銃一郎
お時間ありましたら、ぜひご来場下さい。

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