竹内銃一郎のキノG語録

ゴールのあとにはスタートが。いざ、「動植綵絵」2018.04.23

「タニマラ(さびしい風)」、「独演会」終了。いつものことだが、公演中にはあった達成感、高揚感が、楽日の芝居が終わり、一日二日と時間が過ぎると、もう少し出来たのでは? という後悔の念に変わる。「独演会」には過分とも思えるお褒めの言葉を、幾人もの方々から頂いたのだけれど …。一ヶ月二ヶ月と経ったころにはそれも薄れ、十年二十年と経った頃には、おそらく、懐かしさだけになってしまうのであろうが …。(うん? それまでワシ生きてる?) これまたいつも感じることだが。公演があると、長らく会っていなかったひととの再会や、思わぬひとからの挨拶等があって、それがとても楽しくありがたい。それにしても。長く会っていなかった男の子、昔は可愛いかったのに、その中の幾人もがすっかり肥って、なんともかとものオジサン体型に。笑ってしまう。ま、ひとごとではないのですが。ご来場いただいた方々、ほんとにありがとうございました。

さあ。休む間もなく、今週土曜から、最後の連続上演「動植綵絵(どうしょくさいえ) 竹内銃一郎集成Ⅵ」の稽古が始まる。その内容は …

①食卓㊙法(てえぶるまなあ)・溶ける魚 (初演1981年 秘法壱番館)  肩を寄せ合って暮らすふたりの男の部屋に、夜な夜な、鰻を持参して現れる<笑い男>の目的はナヌ?  ギャグと恐怖が入り混じり、逆転また逆転のラストに至る、竹内渾身の快作。

②ひまわり (初演1988年 秘法零番館)  「父、求む」というアルバイト募集に応じてやってきた男と、彼を迎えた三人姉妹と彼女らの父。チェーホフの「三人姉妹」とシェイクスピアの「リア王」をドッキングさせた驚きの一作。

③月ノ光 (初演1995年 JIS企画)  舞台はチェコ・プラハ・錬金術師通りに建つアパート。1919年、晩秋。この頃、市民たちを恐怖のどん底に陥れていた連続殺人事件。その犯人捜しと複数の恋愛事情が入り混じり …。紀伊国屋演劇賞、読売文学賞、他を受賞した、竹内中期の代表作。

④ラメラ   (初演2009年 DRY BONES)  ラメラ。それは生きとし生けるものにとりつき、別様のものとして生きる不死のもの。みんなで折った千羽鶴を、哀しみを抱えて生きる世界の人々に届ける運動をしているグループがあった。そんな健気な彼らを次々とラメラが襲い …。竹内が5年の沈黙を破って、ドライのために書き下した異色SF。

公演は、5月25日~27日 場所はこれまで同様、千日亭。出演は、保・武田操美・水沼健・花柳仁司郎・芝原里佳。今回の上演時間は、本企画最長の80分くらいになりそうですが、ご来場のほど、お待ちしております。あ、わたしも「ラメラ」に出演します。

 

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