竹内銃一郎のキノG語録

だんしがしんだ2011.11.24

何回か前に、落語について触れたいと書いたが、そしたら、その中で触れるつもりだった談志が死んだ。
わたしにはこういうことがよくある。トリュフォーの映画の題名を借りた「恋愛日記」を上演したら、トリュフォーが亡くなるとか、対面してあんなに緊張したことはなかった映画監督の加藤泰さんが、お会いしてしばらくしたらこれまた急死されたとか。そう、一時期、わたしの芝居に出演された俳優さんの訃報が間断なく続いたことも。
不謹慎だけど、皆さん、まあ、そうなっても不思議ではないお歳ではあったのですが。
うん? 死神か、俺は。
昔の日活映画のタイトルに、こんなのがありました。 「俺にさわると危ないぜ」
死神でも神は神。ワ、ハ、ハ。
寒くなると、お亡くなりになる方が増える。とりわけ高齢者の。わたしの母親が亡くなったのも寒い時期。 暑くなっても、また同様で。
不謹慎ついでに、ブラックジョークを。
暑さ寒さが彼岸まで。
次回のドラボ公演は、ドストエフスキーの「悪霊」をやる予定。読んだら3ヶ月くらいはかかりそうな長編小説を、上演時間100分で出来たらな、と。
ナマ談志は、もう20年以上も前になるのか、弟と新宿の末広亭で見たのが最後だ。
トリの前に出てきて、落語をやらずに近頃の日本はどうも、などと言った内容の漫談のようなものでお茶をにごしたのではなかったか。その後、トリに出てきたのが馬生で。出てきて座るなり、「ただいまは結構なお話で ……」と、相当皮肉が利いた談志批判を枕代わりに使ってた。演じたのは「親子酒」だったか。帰る道すがら、 馬生はどうしてあんなに暗いのか、でも面白い、なんて弟と話したことを思い出す。
自分もいつかは死ぬのだから、誰かが亡くなったからっていちいちそんなに哀しんではいられない。

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