竹内銃一郎のキノG語録

ワインレッドの心2015.06.17

前々回で、愚かしい若さ自慢をしたのだが、強烈なしっぺ返しを食らってしまった。

先週の土曜の夜。いつものように「うまンchu」を見て、寝る前にトイレに入ったら、な、なんとワインレッドなおしっこが。驚き慌ててPCを開き、「血尿」で検索して見ると、年齢60を過ぎた男性の無痛の血尿は、腎臓癌膀胱癌の可能性ありとある。ガーン。これはなにかの間違いではないか、ひと晩寝て、朝起きればなんてことなかった、ってことにならないかと思い、そのまま寝て、翌朝起きてトイレにいったら、今度はワインレッドに濁りが入っている。こりゃダメだ、とは思ったものの。どうも現実感がない。体がだるい、重い、どこかが痛い、などということが一切ないからだ。そう、土曜の夕方には、200米走の自己新を出している。

病は気からというが、体に異常は感じられないし、食欲も旺盛なのだが、なんとなく気持ちが沈み、夜の10時過ぎにはベッドに入る。が、なかなか寝つかれず、なんだか熱もあるようだ。

翌朝。歩いて1分のところにある病院へ。病院は多分、30年ぶりくらいで、診断の結果云々よりも、そのことで緊張する。が、泌尿器科の先生は水曜しか来ないということで空振り。夜、かなりの熱が出る。翌朝。前日には治まったかに思えた血尿が再び。気が滅入る。ネットで、「腎臓癌闘病日記」なんていうのを読む。

本日。診察を受ける。まずは尿検査。昨日のお昼過ぎから血尿が見られず、血尿は一過性のもので、もう全快しているのでは? と希望的な観測もしていたのだが、先生曰く、「いやあ、目には見えないけど(血は)出てますよ」と。わたしがネットで知った血尿の恐ろしさを聞かされ、ここはとことん調べましょうというわけで、生まれて初めてのCTスキャン。10分後くらいに再び診察室に呼ばれ、スキャンした映像を見せてもらう。先生曰く、「腎臓も膀胱もきれいなもんですが …。でも、血尿が出てることはハッキリしてるので、尿を徹底的に検査します。来週出る検査結果を見て、今後どうするかを考えましょう」と。

大半の人間は、明日があることを前提にして今日を生きている。明日があると思うから貯金もするし、トイレットペーパーが残り少なくなれば買い足すし、TV番組を録画するのも、いつかそれを見られると思っているからだ。うーん。別に思い残すこともないからいつ死んだっていいのだけれど …。自分の生き死にが、自分の意志と関係なく決められてしまうというのが、なんとも腹立たしい。まあ、これも貴重な経験だと思って。来週の検査結果を待つしかないな。

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