竹内銃一郎のキノG語録

南北賞落選 いらねえ、そんなもん 2013.01.28

南北賞落選。二週間ほど前のこと。そういう戯曲賞があるのです。
去年の年末に、MODEで上演された「満ちる」が最終候補にノミネートされていると知らされ、いい歳をして今更賞なんてと、いったんは辞退しようかとも思ったが、わたしひとりのものではないなと思い直し、そうなると、改めて断るまでもなくわたしもひとの子、とらぬ狸の皮算用なんかし始め、松本くんにも、受賞したら「満ちる」関係者みんなに来てもらって、大宴会でパーッといきましょうなんて話もし。期待がますます膨らんだところで、ガックシな連絡。
まるで3連単の大穴を1着2着4着で外したような気分。しかし、罪作りなことをする。別にこっちからほしいって言ったわけじゃないのに。あっちが勝手にノミネートして、ひとをその気にしておいて、その挙句に「おまえハズレだから」なんて突き放されて。
賞といえば、(高倉)健さん、日本アカデミー賞の主演男優賞(のノミネート?)を辞退したとか。 古いわたしが貰っても ……。若いひとが貰ったほうが当人の励みになるでしょう、なんて言って。
まるで彼が営々と演じてきた男の台詞みたい。
ま、あっちのアカデミー賞もどうかと思うけど、日本のそれはなんの権威もありませんからね、いい加減などうでもいいのが毎年選ばれてて。結局、制作費を出してるテレビ局やらスポンサーやら代理店やらの利害を反映した結果なわけでしょ? もしかしたら健さん、そんなもん貰ったら恥だと思ってるのかも。
権威ということで言えば。
昨日、6チャンネルで若手お笑い芸人を対象にした「賞」の最終審査をナマでやってた。最後に出演した、結果的に受賞したジャルジャルしか見なかったけど(さほど笑えず)、審査員の顔ぶれを見て驚いた。キャインの天野とか、陣内とか。いいの? こんなやつらに選ばせて。主催者自ら、賞の権威を放棄してるとしか思えない。
最後にもうひとつ、賞関連で。何回か前に書いたテレンス・マリックのこと。修正があります。傑作「地獄の逃避行」を撮った2、3年後に「天国の日々」を発表して、それから20年間の沈黙(?)に入ったというのが本当でした。また、彼は数々の映画賞を貰っているのですが、授賞式への出席をすべて拒否、公の席に顔を出すこともほとんどない、云々。これはすべてウィキペディア情報ですが、誰もが思うように、ウィキペディアは、本当に知りたいことは教えてくれない。
20年間、なぜ彼は映画を撮らなかったのか、撮れなかったのか。その間、どこでなにをしていたのか。なぜ再び映画を撮る気になったのか。なんで顔出し拒否なの? 等々。
そう言えば、健さん名語録の中にありました。前にも書きましたが、「ひとは喋り過ぎると、軽くなる」。
ミスター・マリックは、アメリカの健さんかな?

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