竹内銃一郎のキノG語録

丹波篠山への小旅行「酔って候」2014.03.04

「一週間のご無沙汰でした」とは、往年のTV番組「ロッテ歌のアルバム」の司会・玉置宏の番組冒頭の決まり台詞であるが。このブログ、書かずにいたのが一ヶ月足らずだというのに、もう何年も経ってしまったような。
昔から物忘れが著しい子供だった。いつも忘れ物をして家に取りに帰っていた。それは多分、せっかちだからだ。せっかちだから、すべき確認を怠り、結果、忘れ物をすると、こういうことなのだ。せっかちは短気にもつながっていて、短気は飽きっぽいにつながっている。
このブログを書かずにいたのは、ヒジョーに忙しかったからで、しかし、その忙しさは、前述した<物忘れ>に起因している。一日の四分の一は探し物をしているのだ。ま、新しい家に引っ越してまだ不慣れのためもあるのだろうが、この探し物の時間を半分に削ることが出来れば、もう少しゆったり生活が ……
新しい住まい。知らない土地なのでもの珍しく、毎朝1時間くらい散歩している。近所に酒蔵や名所旧跡があって飽きない。が。知らず知らず目にとまってしまうのは、石屋の墓石の値段とか、介護の文字。そのたびに、われながら「うーん」と唸ってしまう。
生まれつき物忘れが過ぎる上に、年齢からくる記憶力の減退。それを考えると恐ろしいような面白いような。
そう、ミラン・クンデラもいうように、「ひとは誰も子供」なのだ。改めて断るまでもなく、3歳の子供であれ、60を超えた爺であれ、現在の年齢で生きるのは、初めてなのだ。だから、恐ろしいけど面白いのだ。
このブログは多分、忘備録として今後ますます重要なものになるだろう。もちろんわたし自身にとってであるが。
というわけで。この間に起きた忘れないでおきたい幾つかのことについて、簡単に記そう。
もう先々週になるのか。金曜の朝、土橋くんと丹波篠山へ。土橋くんは、関西では稀な知性ある劇作家・演出家だが、公演がない時は、家業の砥石屋の仕事をしている。お父さんが四代目で彼が継げばもちろん五代目。砥石になる石を山から掘り出し、製品にし、それを販売しているのは、いまでは土橋くんの家だけらしい。というか、天然ものの砥石の需要が激減し、そもそも石の掘り出し自体、もうほとんどされてないらしい。
だから土橋くんは、世界にただひとりのトイシスト(?)作家なのだ。
前置きが長くなったが。土橋くんの仕事場でもある彼の実家は京都の亀岡にあり、そこに砥石を買いに来ている田中さんというギター職人の方の工房が丹波篠山にあり、10月にA級Mで上演予定の「Moon Guitar」の取材でそこにお邪魔したと、こういう話です。
ここでも繰り返し書いているように、わたしは人見知りなので、知らないひとと会うのはどうも ……で、おまけに山奥に籠もって仕事をしている「ギター職人」なら、気難しい人間に決まってるし、と思えばどうにも気が重かったが、同行してくれた土橋くんのお父さんが絶好調!なひとで、少し気分が楽になり、田中さんも、会ってみれば、まあ実にフランクなひとで、仕事ぶりの実際もわざわざ見せてくれたのだった。取材後に食べたぼたん鍋の美味しさも格別で、実に収穫の多い小旅行となったが、久しぶりに酔って吐いてしまった。いや、酒にではなく車に。
ダメなんですよ、車が。それで免許がなく、だから、国民として認知されず、この間も銀行で ……やめておこう、長くなるから。でも、一言だけ。
先日、紀陽銀行で。身分証明を求められ、健康保険証を見せたら、顔写真がないからダメだと言われ、ならばと、顔写真つきの大学の身分証明書を見せたら、なんと国公立の大学じゃないからとキッパリ言われてしまって。おいおい、紀陽銀行みたいなド・マイナーな地方銀行員が言っていいのか、そんなことをッ!
嫌なことは忘れて。
まだ書いてもいない前にこんなことを言うのもナンダが。今度の作品はうまくいきそうな気がする。田中さんにお会いできたのも予想だにしなかった幸運だし、劇の重要な人物として中国残留孤児2世が登場するのだが、こちらの方も、卒業生の谷口さんが中国人男性と結婚して、いまは彼女の実家で暮らしている。中国(人)に関する情報収集もバッチリできそうなのだ。
まだまだ書いておくべきことがあったはずだが ……。長くなったし疲れもしたから今日のところはこの辺で。
しかし、研究室の散乱振りは!! 今月中に片付けねばならず、ブログなんか書いてる場合じゃないのだが ……

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