ちゃんとやるゾ、タケウチ! 「自作・自演」出演のこと2016.08.16
台詞の難しさを痛感している今日この頃。書くことがではなく、語ることが。
10月に「自作・自演」なるものに出演することが決まり、その稽古を家でやっているのだが、これがなかなか。俳優諸兄には、「気持なんかいらない」とか、ナンダカンダいつも偉そうに言っているのだが、いざ自分でやってみると、言うは易し行うは難しで、目下のところはそんなレベルでさえない。まず、黒柳徹子がいい例だが、歳をとると、サ行、タ行、ナ行等、舌を使う音を出すのが難しいのだ。徹子さんのようなプロ中のプロの「お喋り」でさえ悪戦苦闘しているのだから、わたしのような素人においておや。ほとんど噛む噛むミニキーナ状態。トホホ。
「自作・自演」とは、東京芸術劇場が5年ほど前からやっているシリーズ企画で、異世代の作家ふたりが自作を読み、そのあとふたりでお話を、というもの。前回だか前々回には、アノ「火花」をお書きになった、又吉先生も登場されたという。わたしのお相手は、同じ劇場で上演される「~大鴉~」の脚色を担当された、ノゾエ征爾氏。ここだけの話、この組み合わせで客は入るのかと企画担当者に念を押したが、なんとかします、というお答え。ホントかな?
ノゾエ氏については、10数年前に(多分)、知人が彼の劇団である「はえぎわ」に出演していたので、それを一度見ているだけで、ほとんど知らない。どういうお方かとウィキで調べたら、ただの(?)作家・演出家ではなく、俳優として舞台・映画・TVで大活躍であるらしい。なによ、玄人じゃん! もちろん、そんな彼に対抗しようなどと、そんな大それた気持ちは毛頭なく、せめて台詞をかまずに語りたいと、その程度の謙虚な気持ちから、慌てて稽古を始めたのだが。
「自演」するのは、いまのところ、「風立ちぬ」と「ラメラ」のそれぞれ一部と、ブログに書いた「ちゃんとやれ、タケウチ!」を予定している。企画者からは、ひとり30分程度におさめてほしいという要請があり、編集・構成も考えなければならないから、結構メンドーだ。数ある「自作」から前述の3本を選んだのは、単行本に入ってない、比較的新しいものを、と考えたからである。
ずいぶん前の話だが、ネットで、「まだあのタケウチがやっているので、驚いた」などという文章を発見して、ショックを受けたことがある。年に数本の作品を発表していた、バリバリの頃だったから、余計に。言うまでもなく、わたしたちの視野は限られている。恐ろしいことに、世の中の多くのひとは(わたしも含めて)、自分の関心から外れた対象は、もうこの世から消えてなくなったと思うのだ。御年86歳のC・イーストウッドの歳までとは言わないまでも、せめて今年80歳のケン・ローチの歳まで現役でありたい。そういう切なる希望から、「自作・自演」をお引き受けしたのである。
本番は10月9日(日)で、チケット発売は来月10日からとのこと。お時間あれば、是非ご来場を。タケウチ、ちゃんとやります。