竹内銃一郎のキノG語録

一にして多であれかし。2016.08.24

オリンピックも甲子園も終わった。やれやれ。でも、猛暑は続く、どこまでも。日中、表に出るとまるでサウナの中にいるよう。熱気で息苦しさを覚えるほどだ。しかし、東日本では信じられないほどの豪雨。TVで見るその様は、同じ日本の出来事とは思えない。日本は小さな島国だと思っていたが、実はさにあらず。いま読み進めている『ヒト ー異端のサルの一億年』(島泰三著 中公新書)によれば、「南北3500キロメートルの列島の長さは、地球の半径の半分」もあるらしい。これだけ長ければ、東西の天気がまったく違うのは当たり前、という話である。この本、次から次と驚くべき事実(多分)がご披露されて、実に刺激的で面白い。例えば、日本語は、少なくとも八系統の言語と民族が関係していて、その事実が、今なお生きて使われている方言の無数の広がりと、日本人の多様さの根源である、とか。

それにしても、この二週間あまりTVを見過ぎた。男子50キロ競歩なんて4時間、全部見てしまったもの。テレンコ歩きが面白く、それだけでも見続ける価値ありだったが、更に、トップを独歩していた選手が急に歩けなくなったり、と思ったらまた歩き出したり、と思ったらまた止まり、等々、想定外の出来事が次々起こってあきさせなかったのだ。しかし、TV釘づけの弊害が明らかになった。この2、3日、細かい字が読めなくなったのだ。新書や文庫の文字くらいなら大丈夫なのだが、辞書の字くらいなると …。多くのひとは50近くになると老眼になって、新聞なども眼鏡なしでは読めなくなるのがフツーだと思われるが、わたしは70に手が届きそうになっても、ヘッチャで読めていたのだったが。これはどうしたことかと原因究明したら、TVの見過ぎという結論に。近眼になったのは、中学時代、深夜のちょっとエッチな番組を見るために、寝静まった親に気づかれぬよう、音量を落として、至近距離でTVを見ていたからだ。同じことを繰り返すこの愚かしさ。バカは死んでも治らない?

目の癒しは遠くの緑を見るがよいという。最近見た「任侠木曽鴉」(監督・工藤栄一)の山々の緑の美しさといったら! お話は曖昧なところが多くイマイチだったが、その緑の美しさとともに、夜の路地でのチャンバラがこれまた。さすが光と影の監督、手練の技を見せて、ナイス!

 

 

 

 

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