竹内銃一郎のキノG語録

「Jクラブ(仮称)」起動計画2017.05.15

土曜日。保、来訪。わざわざ家まで来てもらったのは大事な用件があったからだ。大事な用件? また一緒にお芝居を作りましょう、という話である。

低迷が続く関西の演劇状況に刺激を与えたいとか、演劇のイロハも知らないかに思える若いひとたちを<正しい道>に導きたいとか、そんな大それた考えは、まあ、ない。他人様をどうこうというより、自分をどうこうしたいのだ。

いまだにあちこちでいろんな人たちがわたしの戯曲を上演してくれている、それで上演料までいただいて。これはもう感謝に堪えないことなんだけど、でも、こういうことでいいのかなと最近、この数日、思いだしてきて。こういう表現が適切かどうかはともかく、なんだかひとの褌で相撲を取っているような気がしてきたわけだよ。直接のきっかけは、セザンヌ。彼はずっと死ぬまで毎日外に出かけて絵を描いていたんだ。そんなことは以前から知っていたけど、セザンヌが亡くなった年齢を超えたこの歳になって、改めて前田英樹の本を読み直してると、ああ、わしはダメだなあと、なんだか情けなくなってきたわけだ。暇さえあれば、家で横になって映画を見たり本を読んだり、体がなまったと思えば散歩に出かけ、週末は競馬に明け暮れるといういまの生活は、昔から、多分、子どもの頃から望んでいたものなんだけど、いざ希望が叶ってしまうと、どうも違うなと思ったりもして。早い話、もう少し刺激的な日々を過ごしたいな、また芝居を作りたいな、それも、継続性のある形を作ってやりたいなと思ったわけだ。まだはっきりした青写真があるわけじゃないんだけど。

まずは人集めだ。

ひとりで出来る絵や小説と違って芝居は、ある一定人数がいなけりゃ始まらない。当然のことながら誰でもいいわけじゃない。時間をかけて人選しよう。それについては具体案がある。半年から一年かけて、毎月、わたしが以前に書いた戯曲のリーディングをやるのだ。そういう作業の中で、わたしの方法を伝えていく、と。もちろん、これまで一緒にやったことがある俳優だけでなく、一緒にやったことはないけど一緒にやりたいと思うひと、是非一緒にやりたいと手を挙げたひと、有名無名キャリアの有無など問わずに、みんな来てもらって、一度リーディングに出演してもらって、その中から公演のたびごとに出演者を選んでいこう。半年から一年くらい、毎月リーディング公演をやることで集団の認知度を上げ、そしてついでに、わたしには「あの大鴉、さえも」や「かごの鳥」や「恋愛日記」以外にもいっぱい戯曲があることを知って頂こう。余計なお世話かもしれないけど、お前(保)みたいな俳優にもしかるべき場所を作ってやりたいし。俺はもちろん、お前だってそんなに先があるわけじゃないしなあ。

出来れば来年の今頃には旗揚げ公演といきたいが、無理にそこに照準をあわせるつもりはない。リーディング公演を続ける中で、「新しい集団」に手ごたえが感じられるようになったら、正式な(?)公演準備にかかればよいのではないか、と。

以上の趣旨にご賛同いただける方、ぜひご一報を。

 

 

 

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