竹内銃一郎のキノG語録

苦渋の決断2020.03.11

いま、このブログに書いておきたいこと幾つかあり。昨日、亡くなられた別役さんのこと、あるいは、野田秀樹の「劇場閉鎖は演劇の死を招く」という<意見>への大いなる違和(こっちはほぼ書き終わっている)等だが、まずは6月に予定していたキノG-7公演「さいごのきゅうか」を、来年の1月に延期するという、苦渋の決断について書いておこう。昨日、公演に参加予定の出演者・スタッフに送ったメールをコピーしたものを以下に。

まだご返答が届いていない方が数名おられますが、参加をお願いしていた6月公演は、来年1月25日(月)〜1月31日(日)(劇場入り含む)に延期することに決めました。
さきほどネットで、THEATRE E9で3月6~8日に公演された「若だんさんと御いんきょさん」の、コロナ感染を防ぐための細かな準備・配慮とお客に対するお願い等を読み、こんなことはわたしにはとても出来ないと思ってしまいました。
ご存知の方もおられるかどうか、わたしは今回公演も含め、残り4本の芝居作りを終えたら、演劇の現場からおさらばするつもりです。なので、前回にも書きましたが、出来うる限り作品を作ることだけに集中したいのです。稽古中、換気のために1時間ごとに稽古場の窓を開けて …など、とても出来そうにありません。もちろん、前述の「若だんさん~」のような<作品作りの周辺>に神経を使うことが、出来上がった作品に<不思議な力>を与えることだってあるかもしれません。でも、残念ながら、現在のわたしにそんな心の余裕はないのです。
もしも本番が5月のGWあたりで、すでに稽古が始まっていたとしたら、そしてその稽古に手ごたえを感じていたら、中止・延期の選択はなかったでしょう。また、「劇場の年間プログラム作成の締切りがあり …」という、劇場側からの切ない要望がなければ、結論はもう少し先延ばししたかもしれません、でも …。ご返答をいただいた方の中には、1月公演の参加は難しいという方もおられ、その方々には誠に申し訳ありませんが、<竹内のわがまま>を受け入れていただいて、延期の決定をさせて下さい。
出来れば、一度は参加承諾していただいたお礼に、予定していた6月の公演時に皆さんと一献を、と考えています。改めてご連絡しますが、この<企画>への参加、よろしくお願いします。

このメールを送る前日に、公演延期についての是非を問う「ご相談」というタイトルのメールも送っている。

宝塚が公演を再開したようだ。詰めかけた観客はみな、おそらくコアな宝塚ファンで、「コロナ感染がなんだ!」と思って出かけたのだろう。そんな気概・選択についてはいいも悪いもなく、宝塚側の「ファンのために」という開催理由も嘘ではなかろうが、経営・財政の危機を少しでも避けんがためにということがあっての再開であろうことは間違いない。しかし、だからといってこのことを非難するつもりも毛頭なく、ただただ感染者が出ないことを願うばかりである。

昨日の夜、殿井さんから「さいごのきゅうか」の台本第二稿が届き、今日の午前中、劇場の方から正式に、こちらの申し出OKの返事をいただく。ありがたや。

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