「少年巨人」で始まり、「コスモス」(仮題)で幕となる?2020.08.23
わたしの実質的には処女作というべき「少年巨人」のデータ化、ようやく完了。じっくり読んだのは30数年ぶりである。文字を打ち込みながらその初々しさに感動。審判のプレーボールのコールに始まり、「ゲーム」のコールで幕となる。A・ジャリの「超男性」、A・ランボーの「地獄の季節」、尾形亀之助の「話」(小説)、「風邪」(詩)、それから、円谷幸吉の遺書、長嶋茂雄の引退セレモニーでのスピーチ等々の引用が全体の20%ほどを占めているが、なんの違和感もない。そこがいい。来年発刊予定の戯曲集の中に一本、まだ書かれていないものがあり、なんとか来年の中頃までには書き上げたいとおもっているのだが …。その構想を以下に。
コスモスー痴漢より簡単な殺人ー
<CHARACTER> トモビキ=時計店主人(時計修理の名人) マルコ=謎の麻酔医 リョウ=異星人の女 フタバ=マルコの妻 キャン=厚労省の役人 ネジヤマ=ダイエットの男。
<STORY> トモビキは、瀬戸内海に浮かぶ小島で、創業100年を超える時計店を営んでいる。彼の時計の修理の素晴らしさは知る人ぞ知るところ。修理の依頼は国内にとどまらない。それはそうだ。古い時計で部品がなければ自分で作って修理するのだから。
ある日のこと。そのトモビキの店に、東京の大学病院に勤務する麻酔医(自称)・マルコが来訪する。時計の修理の依頼かと思いきや、実はそうではなく、自分の仕事を手伝ってほしいというのだ。
マルコの仕事とは? 彼はまったく無痛で、現在ある麻酔薬より圧倒的な効果を発揮する、新しい麻酔薬を作った。しかし、動物実験では現在まだ20%を切る成功率だから、人体に使用するには危険な代物。いまのスピードではあと10年かかっても実用化はおぼつかない。実用化を早めるには人体実験しかない。マルコはその危険な人体実験への協力を依頼しにきたのである。「そんな殺人になりかねないことは……」と、トモビキは当然のように断るが、マルコは、「人体といっても、相手は異星人ですから」と奇妙なことを言う。
異星人? マルコの話では地球の全人口の0.5%は異星人らしい。異星人は国の法律の外を生きているので、殺しても罪に問われない、というのだ。異星人の見分け方は簡単。首筋にホクロがあるのは皆、異星人。そして、その首筋のホクロに新麻酔薬を塗った針をチクリと刺す。これが仕事の内容で、そこで即座に彼・彼女が眠ってしまって、なおかつ、後遺症も残らなければ実験は成功というわけだ。しかし、なぜトモビキを選んだのか。殺人にならないとは言え、事はなるべく隠密裏に運びたい。その行為を周囲に気づかれず、さらに、刺された当人さえ気づかないほど、素早く正確に成し遂げるには、この世の者とも思えないほど繊細な手先をもった者でなければならない、だからトモビキに、ということなのである。トモビキはその仕事を引き受けることにする。なぜか。高額なギャラも魅力であったが、なにより、マルコの言う「異星人」が本当にいるものかどうか、それを確認したいと思ったからである。それから3ヶ月後 …
もう一輪の「コスモス」 舞台は広島・竹原市 主人公は、伯父の時計屋を引き継いだ。ある日、見知らぬ男が時計の修理を依頼に来る。その男は、瀬戸内の小島の有名な時計屋に行くつもりだったが、船に乗り遅れ、この店を見つけ、ここでいいかと思って訪ねたのだという。男は東京から来たのだ、という。主人公は星の観察が趣味。主人公の子供の連れまわし、今から25年前。子供は小学校入学直前。三日間連れまわし、その後自首。なぜ連れまわしたのか。三日間、どこで何をして過ごしたのか。その娘は、いま30歳。結婚して3歳になる娘がいる。連れまわされた女の子の父親が、孫娘を連れて時計屋を訪ねる。そして ……。 その他の登場人物 高校の美術の非常勤講師。アラフォーの女性(どんな絵を描いている?)。若い郵便局員。路上でひとり、歌を歌っている。この男の彼女が主人公の過去を偶然知ってしまう。
これは、JIS企画で上演するために構想したものだが、これを書き上げることが出来なくて、JIS企画は20年近く冬眠状態になってしまったのだ。コロナちゃんは一体いつまではしゃぎまわるのだろう? これを書き上げて再来年には上演し、わたしのラスト・プレイとしたいのだが …