竹内銃一郎のキノG語録

「さいごのきゅうか」を終えて2021.02.01

昨日の楽日の夜は10時半頃に寝て、今朝は9時過ぎに起きる。睡眠時間が10時間をオーバーしたのは何年ぶりになるのだろう? 記憶にない。よほど疲れていたのだろう。歳だな。

公演は最後の三日間はいずれも満席。といっても44席だから結局、総動員数は170人ほど。う~ん。さっきツイートもしたが、大大赤字で気持ちは沈み、次回公演も緊急事態宣言下にあるとすると、こりゃ厳しいわとため息を繰り返していたが、昼のワイドショーで感染者数がかなりの勢いで減少してること知り、うなだれていた首が少し持ち上がる。だってワシ、あと3本でお芝居から足を洗うのだ、なんとか有終の美を飾りたいのだもの。

先に書いたように、満席でわたしの席がなかった29日、30日は芝居が見られず、3日ぶりに見た千秋楽の舞台。その感想は、初日の有料ゲネプロの舞台に比べると、悪くはないのだがイマイチ、というものだった。別に役者諸君に手抜きがあったわけではなく、舞台を重ねるたびにぐんぐん変わってほしいというわたしの希望を満たしてくれなかったのだと思う。彼らにも話をしたのだが、以前の多分JIS企画などの稽古初日であろう、いつも「映画は一本の作品しか作れないが、芝居は10回の上演があれば、10本の違った芝居が出来るので …」と、出来上がりにこだわらないでほしいと話していた。ひとは誰も、日によって体調も変われば、心の持ち方も違うし、観客だって日によってメンツが変わるのだから、その日の自分(たち)の心身の状態をベースに、やりたいことをやればいいのだ。まあ、言うは易く行うは難し、であろうことも理解は出来るのだが。

前回にも書いたが、出演したふたりの女優の、稽古初めの頃から本番の舞台に至るまでの変わりようは、40数年になるわたしの演出経験の中でも、あまり記憶のないほどで。とりわけ、ほのかを演じた本多さんは、普段は口数少なく、小柄なこともあって(?)、まったく目立たないのだが、いざ舞台に出ると乱暴狼藉の(?!)フル回転。また、最後のシーンの冒頭で彼女はひとり、椅子に座って志賀直哉の「城の崎にて」の一部を読むのだが、最初はトツトツと、先に進むに従って声のヴォリュームを上げ …というのはわたしの指示に従ってのものだが、読まれる中身がかなり明晰にこちらに伝わってきて、それにも驚く。聞けば、あと4,5年は俳優を続けたいのだとか。ゆきを演じた岡田さん、どう考えても作家としての才能あふれる殿井さんともども、アッと驚くような大輪の花を咲かせてほしいものである。

 

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