竹内銃一郎のキノG語録

いちばんのお楽しみ2021.02.08

「さいごのきゅうか」が終わってまだ8日しか経っていないのに、あれがなんだか遠い、夢の中の出来事のような。なんでしょう? これも健忘症がゆえのことでありましょうか?

今日の午前中、次回公演の出演者と初対面。まったくその存在を知らなかった彼は、イシカワ役に予定していた佐々木くんが自劇団の公演と被るというので、では、誰か推薦をと頼んで紹介された森脇くん。ネットで彼に関するそれなりの情報を入手していたとはいえ、実物がどうなのか、少なからずの不安を抱えて喫茶店で会ったのだが、思いがけないほど話がはずみ。最近よく映画を見てるというので(映画館でバイトもしてる)、ではどんな作品がよかった? と聞いたら、わたしの大好きな「ミツバチのささやき」(監督 V・エリセ)、「動くな、死ね、甦れ」(監督 V・カネフスキー)をあげたのでびっくり。それで、彼には以下のような話をした。昨今の日本の映画やTVドラマの大半がくそ面白くないのは、俳優の演技力が劣悪だからで、それは結局、俳優を抱えている映画会社がなくなって、演技のイロハを学ぶ環境がなくなり、また、芝居も二桁の俳優を抱える劇団が皆無に近く、だから、俳優はもちろん演出家も、知識・技能を磨く環境にないからで、だから、とにかく名画を無際限に見て …云々。わたしはカネフスキーの他の映画のDVDを持っているから、貸してあげるよ、と言って別れる。彼の出演決定で、出演俳優すべて決定。藤原さん、F・ジャパンさん、林田さん、若尾さんは去年の時点で決まっていたが、「さいごのきゅうか」に出演した岡田さん、本多さん、制作をやってくれた植田さん、それに、この間「よーいドン」で人間国宝さんのシールを貰った武田さんと、観客云々以前に、わたしの期待や大大な顔ぶれが集まった。楽しみ。

夕方の5時。前述した植田さんが、とりあえず東京に帰り、稽古が始まる4月中頃にはまた京都に戻るので、我が家で日用品を預かってくれとやって来る。そしてともに夕食を。彼女はまだ20代だというのに、これまたとんでもない映画通で。前述の2本の映画も見ているというのでビックリ。さすがに、名前は知っていても、高倉健だのショーケンのTVドラマは知らないと言ったが。近大の卒業生で、東京からわざわざ芝居を見に来てくれた嶋田くん、柄本さんに紹介されて月イチで通うようになった直珈琲の直さん、それに、前述の森脇くん、植田さんと、この一年でまさかの映画通と思わぬ形で知り合い、彼らと会って映画の話をするのが、いまのわたしのいちばんのお楽しみである。

 

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