竹内銃一郎のキノG語録

そうだ、原将人(正孝)のことを書けば …2021.03.13

久しぶりのブログ執筆。いやあ、この3週間ほど、わたし大変だったんですよ。なにが? いちばん大きかったのは、6月に公演する「恋愛日記~」の出演者がなかなか決まらなくて。やっと全員出揃ったと思ったら林田さんオメデタで出演無理となり。代役に藤原さんに紹介された山本さん決まってヤレヤレとなったかというとさにあらず。次なる難問は舞台美術と舞台監督を頼めるひとがなかなか見つからず、その一方に、助成金申請したのがOKにはなったが、その報告書、つまり、これにはこういう風にお金を使ってと書かねばならぬのが、わたしにとってはとんでもない難事で、植田さんのお手伝いもあって3つのうち2つはなんとかクリアできたのだが、残りのひとつが。アレコレあってもう無理と判断し、昨日、「諦めます」とメールを送る。フー。具体的な名前を挙げるのは差し控えるが、某知人に舞台美術を頼むメールのやりとりの中に、先日終わった彼らの公演は驚くほどの赤字となって云々とあり。いやあ、大きな劇場での公演はともかく、小劇場はおそらく少なからずのひとにとっては<危険区域>以外のなにものでもなく、危険を無視して行くほどのものでもないから、芝居など見には来ないのだ。数日前のTVニュースで、分科会の尾身会長が「コロナ感染がおさまるまで、あと2,3年はかかるのでは」なんて言っていた。国民の大半がワクチンをうてばと思っていたが、どうもそうではなさそうだ。う~ん。なあんてこんな重い気分を抱えていては、ブログなんて開く気になれなかったのだ。

実は今日、原将人の「初国知所之天皇」を見に行くつもりでいたのだが、あそこだと思っていた劇場ではなく、どうも映像配信でしか見られないようで、ガックシ。以前にもこのブログに書いた気もするが。わたしが大学に入って間もなく、雑誌「文藝」の文学賞を貰った小説を読んで、その面白さに驚いたのだが、なんとそれを書いた学生が大学の同じクラスにいたことを知ってさらに驚く。次に驚いたのが、同じ年だったか、翌年か、正しいタイトルは忘れたが、とにかく、8ミリ16ミリの映画の大賞に選ばれたのが、まだ高校生だった前述の原将人(本名 原正孝)で、その映画「おかしさに彩られた悲しみのバラード」を見たら、とても自分には出来ないような、あまり見たことのないような<高級品>で、もともと映画監督になりたいなどとは思っていなかったのだが、この時にハッキリと、自分はシナリオライターになるのだと決めたのだった。前述の「初国~」はそれから約10年後、70年代半ばに、当時一緒に映画を撮ろうとしていた鈴木くんと見に行った。確か5時間を超えるような長編だったが、最後まで眠らずに見た、というか、眠らせてくれない<驚き>の映画だったのだ。それから、20年近く後、彼の初めての商業映画「20世紀ノスタルジア」を見てこれにも驚嘆。主演の広末涼子の可愛さにも気を惹かれたが、もっと気持ちを動かされたのは、原が作詞・作曲した歌の数々。まったく彼は凄い、凄すぎる男!! そうだ、彼は若い頃、わたしも好きだった(今も好きだけど)早川義男と組んで映画を作っていたのだ。う~ん。

今でもかなりくっきりと彼の作品の断片ががわたしの頭の中にあるから、この数年の間にデビューして評価の高い若手監督の作品なんて、面白くもなくおかしくもなく、針の先ほどの驚きさえ感じないのだな、多分。これっぽっちの新しさも感じさせないし。いや、去年見た「メランコリック」は例外ですよ。

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