竹内銃一郎のキノG語録

アーカイブ、毎週更新中2015.06.19

アーカイブに掲載されているチラシが50枚を超えた。作家・演出家としてわたしが関わった公演は100くらいのはずだから、只今中間地点通過といったところ。時代からいうと、90年代は終わって、80年代に突入したところだが、わたしにとってふたつ目の劇団である秘法零番館は、80年の11月に「あの大鴉、さえも。」で旗揚げし、88年末の「ひまわり」で解散したので、80年代とは、「秘法零番館」とともに過ごした10年ということになる。

掲載されているチラシ以外にも関わった公演は幾つかあるのだが、とりあえず、これまでアーカイブに掲載されている56本に限ってみると、作・演出で関わった公演が41本、戯曲を書き下ろしただけの公演が4本、演出家としてのみ関わった公演が11本。誰も言わないので自分で言ってしまうが、演出のみで11本というのは注目すべき数字だ。

この国には、演出もされる劇作家は多々おられ、というより、大半の劇作家は自作の演出はご自分でされているわけですが、しかし、他人が書いた戯曲を演出するという例はさほど多くはないはず。唐十郎さんがそのいい例で、学生時代はともかく、劇作家として名をなして以後、自作以外の戯曲を演出されたことはないのではないか。唐さんと同世代の佐藤信さんは、演出作品は多いけれど、今世紀に入ってから新作戯曲はほとんど発表されていない。わたしとほぼ同世代で、いまも旺盛な創作活動を続けておられる山崎哲さん、北村想さんも、他人の戯曲を演出したという話はあまり聞かない。岩松さんもそうだし、野田秀樹もそうだ。だから、竹内はちょっとユニークでしょ、と、まあ、言いたいことはそれだけなんですが。

掲載されているチラシを見ていると、当然のことながら、いろいろ思い出が甦ってくる。中でも、すまさんや、河内(桃子)さん、中川(安奈)さん、長く舞台監督をしてくれていた青木さん等のことが、殊更に懐かしく思い出されるのは、彼らが亡くなってしまっているからだろう。因みに、ここまでのチラシの中でもっともインパクトがあるのは、蛭子さんが描いた「氷の涯」と「風立ちぬ」の2枚だが、もっとも好ましく思っているのは、「眠レ巴里/満月の夜」だ。これをデザインしたのは、出演者のひとりである中村さん。一等賞はキミだ。名だたるプロをさしおいて!

 

 

一覧