竹内銃一郎のキノG語録

「心理学はいらない」by ロベール・ブレッソン2018.08.29

久しぶりに、京都駅構内にあるふたば書房を覗く。月に一度くらいは行っているのだが、いつも野球関係の雑誌があるところに直進するので、今日のようにゆっくり店内探索をしたのが久しぶりなのだ。日経の演劇担当記者だった内田さんの「風の演劇 評伝別役実」なんて本を手に取ってパラパラと頁を繰って、本棚に戻す。興味をそそられず。大江健三郎と柄谷行人が対談してる本もあった。まさかの顔合わせだが、これも …。じっくり読んでみようかと思わせたのは、「中井久夫との対話」(村澤真保呂・村澤和多里 著)と、貧乏をテーマにつげ義春らの作品を集めた「貧乏まんが」(ちくま文庫)の2冊で、家に帰って早速Amazonに注文。

いま毎日ぽつぽつ読んでいるのは、ロベール・ブレッソンの「シネマトグラフ覚書」(松浦寿輝 訳)。「映画監督のノート」という副題から想像するに、彼が気に留めたことを記したノートから抜粋した語句・文章を無造作に(?)並べたもの。彼の映画同様、大いに興味をそそられ、刺激を受ける。本はいつも、気になった箇所があると付箋を貼りつつ読むのだが、この本の場合、いまのところ半分以上の頁に付箋が貼ってあるので、付箋効果はほとんど0となっている。

訳者は、シネマを映画、シネマトグラフを活動写真と訳している。ブレッソンが目指すシネマトグラフとは、ホームに入ってくる汽車や猛烈な勢いでホースから噴き出す水等で観客を驚かせた、まさに創成期の<生まれんとする映画>である。シネマの定義を「撮影された演劇」とする彼は、次のようなことも書いている。「何世紀もの間に演劇はブルジュワ化した。それがどれほどのものかは、シネマが示している」。ノートは1950年から74年まで書かれたもので、「きみは」という書き出しから始まるものが多々あり、知人への手紙の下書きの一部等も含まれているのかもしれない。25年の間に、考えがほとんどブレることなく一貫しているのは奇妙と言えば奇妙で、まあ、変人なのでしょう。理解困難な箇所、あるいは、演劇に関する考えに少なからずの違和感もあるのだが、面白さは十分過ぎるほど。まだ半分ほどしか読んでいないから、全部読み終えてから改めて感想を書くことにして。

早く、暑いの暑いの飛んでけ~!

 

 

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