竹内銃一郎のキノG語録

精進精進2019.06.29

見るたび聞くたび、反射的に舌打ちしてしまう言葉がある。このところ世間をお騒がせしている「反社」だ。もちろん、<反社会勢力>を支持・肯定するつもりは毛頭ないが、しかし、わたしが半世紀近くたずさわっている「表現行為」は本来、社会の多数派が良しとする物・事に対して懐疑や否定を前提としているはずだ。つまり、表現者もまた、いうなれば「反社会勢力の一員」なのである。だから「反社」という言葉に対して、わたしは過剰に反応してしまうのである。そう、いまは人間国宝として世間から崇め奉られている、歌舞伎や能や狂言の役者さんたちも、昔は「河原乞食」などと呼ばれ、社会の蔑みの対象になっていたのだ。なにが言いたい? 「反社」の中にこそ、社会を変革する芽があることをお忘れなさるなってことです。残念ながら、今回の騒ぎの対象者の中にそんなお宝がいるとは思えませんが。

今週の木曜、10月に「今は昔、栄養映画館」を上演する劇場の下見のために熊本に行く。前日の夜行バスに乗ること11時間超。その間、ほとんど眠れず。にもかかわらず、劇場の持ち主である亀井氏、制作を引き受けてくれた澤田氏との打ち合わせ、そして、新聞、タウン誌の取材への対応等々、ワタクシ的には、さしたる支障もなく、我ながらなんて強靭な体力の持ち主かと驚いたのだが、さすがに、今日になって疲れがドッと。

金曜日。初めての立ち稽古。最初の20分ほど。家でうちの奥さん相手に台詞合わせをしている時には、スラスラとまではいかないものの、ほぼ完璧に台詞が出てきたのだが、動くとこれがなかなか。体(の状態)を意識出来るレベルまでいっていないので、動くと台詞がとんでしまうのだ。精進精進。

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