竹内銃一郎のキノG語録

本日、「さいごのきゅうか」を書き上げました。2020.08.03

お久しぶりです。

来年1月上演予定の台本「さいごのきゅうか」、やっと書き上げる。依頼していた殿井さんが3稿まで書き上げたところで、体調を崩して書き続けるのが困難になり、最終稿はわたしが書くことに。一方で、このブログの何回か前に書いたように、「竹内銃一郎集成」ととりあえず命名したわたしの戯曲集を、来年1月に第一巻を刊行する予定で(それから隔月で全6巻刊行予定)、それに所収する戯曲は全部データ化が出来ているのだが、他の5巻に所収予定の戯曲20本のうち、まだ4本のデータ化がなされておらず、そっちの方もやらねばならない、というわけで。この一ヶ月、結構(それなりに?)忙しく、ブログ書きの時間などまったくなかったのだ。

別に自画自賛するわけではないけれど、「さいごのきゅうか」はかなりの秀作になっている。最終的にまとめたのはわたしだが、全体の8~9割は殿井さんが書いたもので、わたしはそれに少しづつ筆を入れただけである。これまで大学や戯曲講座でわたしが教えた学生(等)の中には、幾人もの優秀な書き手がいて、その中のまた幾人かは様々な戯曲賞を受賞している。殿井さんは5、6年前に伏見桃山の自宅で開いた「戯曲講座」の受講生で、以前にこのブログにも書いたが、彼女が講座で書いた「ユートピアたより(仮)」は、わたしにとっては今世紀最大の衝撃的傑作で、わたしのススメでこれをOMS戯曲賞に応募したら、受賞どころか最終候補にも選ばれなかったという、大珍事があり …

ま、こんな話はとりあえずどうでもよろしい。わたしが指導した優秀な書き手の中でも殿井さんは格別で、それを今回、改めて確認させられたのだった。どこが? とにかく戯曲を成立させるための情報収集が半端ナイのだ。特定はされてないが、おそらく兵庫か岡山の山奥の中の温泉町が物語の舞台になっているのだが、その近くにはウラン鉱山があり、昔、そこを舞台にした「怪獣ドラマ」が作られていて、その中の傑作が「ウラドン」というモグラの怪獣が出てくる回で …などと、多分、モデルになっているドラマはあるのだろうが(わたしは知らない)、まあいかにも面白そうに書かれていたり。あるいは、新年会で見せる出し物に困ってる女子中学生に、主人公と思しき30代半ばのリゾバ男が、ド・ラ・ミの3音をギターでゆっくり弾きながら、この詩を読んだら? と提示するのが、「A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED」というタイトルの、作者不詳の「ニューヨーク・リハビリテーション研究所の壁に書かれた詩」の日本語訳だったり。他にも、前述したリゾバ=リゾートバイトの実態、あるいは、田舎の町おこし特派員のほろ苦くも微笑ましい仕事の中身の紹介等々、どれも「わしゃ、な~んも知らんがな」な事ばかり、だから書かれた中身に時々少々、筆を入れる時は、わたしは常に首を垂れ、平伏しつつやらせてもらったのである(これは冗談)。しかし、

どうにも気になるのは、コロナ感染の拡大である。来年1月の公演は無事出来るだろうか? マスコミは、TVに登場する医師や大学教授、芸人等も含め、「コロナ感染に気をつけろ」を繰返すことで、自らの名誉や地位、そして視聴率確保が確保出来るはずと思って、あれこれ言っているのに過ぎないのだ。それを知ってか知らずか、多くのひと=視聴者はそれに殉じて、ひと通りの少ない通りでも、このくそ暑い中、がっちりマスクをされている。そういう方々は間違いなく、いくら劇場が席数を半分にしたり、換気や消毒等にいくらお金と神経を使おうと、芝居になんぞ来ないだろう。ああ、やだやだ。でも。以前にも書いたか、劇場側が席数を5分の一に減らそうが、二桁以上はNGですと言われようが、閉鎖しない限り、わたしはやるつもりです。だってもうあと2、3年でわたしの演劇人生は幕を閉じるんだもの。

 

 

 

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