竹内銃一郎のキノG語録

アンゲロプロスの死について2012.02.14

「いちご大福姫」。9日に読みあわせをし、13日からいよいよ稽古だァー!と張り切っていたら、なんとなんと、13,14日と所属する文藝学部の入試! それに気づいたのが先週の金曜日。入試は土日だと思っていたら、それは他学部の入試だったのだ。とんだお粗末の巻。
公募し、採用を決めた6本の戯曲。どれもわたしの想定を超えた出来映えで、なおかつそれらを並べてみると、これはかなり面白い台本だと、竹内至極ご満悦です。
例によって、世間様にイチャモン。
もう何日前になるのか、アンゲロプロスが事故で亡くなった。しかし、それに関するニュースの扱いの小さい事!それに引き換え、その何日か後の、日本の高校生がローザンヌのダンスコンクールでグランプリ受賞というニュースの大きいこと大きいこと。
ちょっとおかしいんじゃないか。それはね、日本人のほとんどはアンゲロプロスなんか知らないし、日本の高校生が、大会の価値は知らなくてもグランプリとったとなりゃ、そりゃよかったよかったとなるのは当然でしょう。
でも、マスメディアには、一般市民を啓蒙するという役割だってあるわけでしょ。物事の大小はきちっと示さなくてはいけない。みんなが熊さん八っあん感覚じゃ困るわけですよ。改めて言うまでもなく、グランプリ高校生よりアンゲロプロスの方が偉大な功績を残してるわけで。もちろん、彼女がこれからどれほどのダンサーになるのかは分かりませんが。
複数のひとからのメールで、アンゲロプロスが亡くなったってことを知りました。ま、わたしがアンゲロプロスのファンだったってことを知ってたからですが。
新作の撮影中だったらしい。わたしに知らせてくれたひとは一様に、残念がって、新作が見たかったと書いてきましたが、ま、わたしは基本的に人間が冷徹に出来ているということもありますが、いいじゃん、アンゲロプロスはやることやったし、彼の映画を見ようと思えば、いまはいつだってDVDで見られるんだからと答えました。
亡くなって哀しいのは、やっぱりパフォーマーですね。二度とナマで見られないというのは哀しい。あと、芝居の演出家も。映画監督や小説家、美術家、詩人等々は作品が残りますが、舞台は残りませんからね。記録映像はもう芝居じゃないわけですから。演出家は哀しい。
ナマでもう見られないというと、ダルビッシュですね。ま、アメリカまで行けば見られるわけですが(多分)、そこまで見たいと思ってるわけでもなく。でも、何年か前から見たいと思ってた。彼はわたしが知る限り、日本球界が生んだ最高の投手です。イチローもそう。一度はナマでって思ってるうちにアメリカに行っちゃった。
なにごともさっさとやらないと悔いが残るって話でした。

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