竹内銃一郎のキノG語録

回顧20142014.12.24

あと一週間で今年も終わりだ。それがどうしたと思いつつ、でも、商店街は、今日は休日のせいもあろうが、いつになく人通りが多く、ドラッグストアなど客で溢れていて、そんなのを目にすると、ワシもなんかしなくちゃと焦ってしまう。年内に終わらせなくてはいけないことなど何もないはずなのに。

というわけで、今年の私的回顧を。

訃報が相次いだ。3月に卒業生の平野が亡くなった。確かまだ27,8歳だったはず。あまりに若い。5月には元・秘法零番館劇団員の長野の死を知る。亡くなったのは一昨年の12月だったのだが。10月に中川(安奈)さんが亡くなり、11月に健さんが亡くなり、12月に文太さんが亡くなり。他にも、劇作家・演出家で、近大・舞台芸術専攻では同僚だった深津くん、何度かお会いしたことがある俳優の蟹江敬三さん、80年代にわたしがもっとも影響を受けていた赤瀬川原平氏も今年亡くなった。こんな風に故人の名前を列記していると、なんだか自分だけが取り残されているようで、やるせなさが募る。「死ぬのは他人ばかりなり」(M・デュシャン)

一方で、結婚だの婚約だの出産だのといった目出度い報せも相次いだ。先頃の土橋くんのOMS戯曲賞受賞はその最たるものだ。このなんとも見事な帳尻あわせは、天の配剤としか思えない。

待ちかねていた人々が長い沈黙を破って、相次いで新作を発表した。レオス・カラックス、ボン・ジュノ、森崎東、周防正行、高野文子、保坂和志、等だ。といっても、前の三人の作品が公開されたのは去年なのですが。揃って力作。とりわけ、高野の「ドミトリーともきんす」と保坂の「未明の闘争」は、映画以外のジャンルでは、久しく味わったことのない刺激と興奮を覚えた。

だがしかし。周防さんの「舞妓はレディ」と「未明の闘争」、それに森崎東の「ペコロスの …」については、事前にその公開・刊行を知っていたのだが、他の作品については、わたしはまったく知らずにいた。「ドミトリー…」など、amazonからのお知らせがなければ、多分未だに知らずにいたはず。この「深刻な問題」については、稿を改めて書こう。

3月に勤務していた大学を退官したので、自由に使える時間が一気に増えた。教員になる前の状態に戻ったわけだが、10数年の窮屈なサラリーマン生活(?)を経験したことで、時間の有効な使い方を覚え、フリーであることの有難味もよく分かるようになった。読書量、見る映画の本数、ともに飛躍的に増えた。このブログでも紹介した河野哲也の著作5本読破など、働いていたらとても出来なかったろう。

もう少し外へ、社会の動向にも触れたいが、長くなりそうなので次回に。

 

 

 

 

 

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