竹内銃一郎のキノG語録

ユーミンとブレードランナーと『経済学の犯罪』2012.11.22

先週末は久しぶりに競馬でしこたま負けてしまう。そのショックのためであろうか、昨日ダウン。朝から食欲がなく、節々が痛い。
同年齢の他の人々はどうなのか知らないが、朝起きて食欲がないというのは、この20年ほどわたしの記憶にはなく、ましてや歩くどころか立っているのもおぼつかないなどという状態は、腰が痛くて…、というのを除けば記憶にない。熱もあったから多分、過労に風邪がつけこんだのだと思うけれど、いや、昨日は原因不明の重病でこのまま死ぬかと思った。最近またよく亡くなりますからね、いろんなひとが。
BSで、荒井由美の「ひこうき雲」について語る、という番組を見た(タイトル失念)。
ユーミンにさしたる興味もなかったけれど、ユーミンとそのアルバムのバックバンドをつとめたキャラメルママのメンバー、それにディレクター、ミキサー(?)が久しぶりに一同に会して、あの時はああだったこうだったと語り合ってたわけだが、なにかそこに流れている空気がとても好ましいものに思われ、最後まで見てしまったのだ。
音楽はというのか、ミュージシャン達の話は楽しい。それはおそらく楽器という媒介物が常にあるからだろう。だからゆるやかに話が流れる。
詳しいことはなにも分からないけど、16チャンネルのテープに入った曲の中から、パーカッションだけ聴かせてとか、ピアノだけを、ベースだけ、いや、ベースだけ聴いたってなんだか分からないよ、等々。で、みんな、ここいいねえなんて褒めあってる。繰り返しになるけど、わたしは音楽なんてよく知らないから、ほんとにいいんだかそうでないんだか分からないが、でも、みんなで褒めあってる、その感じに嫌味はなく、とてもいいのだ。
俳優や本カキ、演出家が一同に会して、昔の自分たちの芝居のビデオなんか見て、「いいね、この場面」なんて言い合うだろうか。言い合ってたするのは、ただの恥知らずどもではないだろうか?
加藤幹郎「ブレードランナー論序説」と佐伯啓思「経済学の犯罪」ようやく読了。前者の精緻を極めた論旨に感動し、後者には、ああ、そういうことかとものすごく納得。
先日、松本(修)くんと、表現への渇きを感じさせるような学生がいないのは何故かというような話をしていたのだが、これを読んでその事情がどこから来てるのかが、よおく分かってしまったのだった。

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