竹内銃一郎のキノG語録

こころよき疲れなるかな  「~魂~」めでたく終了2016.07.19

おそらくアドレナリンが出まくっているのだろう。戯曲を書き上げた直後、公演が終了してしばらくは、満足感で満たされる。

いつも公演が始まると、俳優諸君には、芝居を見たひとはいろんな感想を洩らすだろうが、いいことだけ聞いて、批判は聞き流せ、公演中は謙虚になるなと言う。今回もそんなことを言った。反省はすべてが終わったあとにすればいいから、と。心配した集客数も、A級Mのこれまでの記録を大幅に更新したのだとか。よかったよかった。芝居は生まれたそばから消えてなくなる。その儚さがわたしには心地よいのだが、しかし、見てもらわなくては始まらない。戯曲は100年後にだって読まれ得るが、実際の舞台はそうはいかないのだ。

公演をすると、長く会わなかった、懐かしいひとと会える。今回も、久しぶりに岩松さんと会い、2時間ほどお喋りをして、楽しい時間を過ごした。佐野さんも、松江での仕事帰りに途中下車して見にきてくれた。NHKのディレクター笠浦くんも来てくれた。彼と会うのは、20年ぶりくらいではなかろうか。もしかしたらそれ以上? 熊本のSさんも、被災されて大変であろうのに、多忙の中、見にきてくれた。姪の睦子も東京からわざわざ。かってわたしの芝居に関わってくれた人々、DRY BONESの元メンバー諸君、近大の可愛い卒業生諸君も、大勢来てくれた。皆さん、本当にありがとうございました。

そして、今回の公演に関わってくれたスタッフ・キャストの皆々様。得心のいく舞台になったのは、皆さんのお力があったればこそ。感謝感謝です。

こころよき疲れなるかな 息もつかず 仕事をしたる後のこの疲れ (啄木「一握の砂」より)

 

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