口臭のような耐え難さ。 女だらけの新喜劇を見る。2017.01.12
文字通りの大器、酒井藍主演の「女だらけの新喜劇」を見に行く。去年の12月初めにチケットを購入した時から、この日が来るのを今か今かと待ちわびていたのだが、期待を裏切るドーにもならないひどさ。稽古不足が明らかで、演出家にそれでもなんとか見せてしまう剛腕はなく、出演者もおしなべて低調・無気力。楽屋落ちのアドリブで笑いをとらんとする品性のなさだけが際立ち。この一年でメキメキ力をつけたかに思われた藍ちゃんも、結局、座長・ベテラン連中の巧みなリードがなければ未熟なデブタレにしか見えず。しかし、あれもこれも、素人が書いたのかと思うようなしょーもない台本のせいだろう。もう少しまともなホンなら俳優たちも、おそらく多忙がゆえの稽古不足を補う努力をしたはず。作家は才人と評価の高い(?)おーい!久馬。お金をとってこんなものを見せてはいけないとわたしは思ったが、多くの客は楽しそうに笑っていた。笑いに厳しい関西人はどこへ行ったのか? 芝居が退屈な上に、隣の席のおっさん、笑うたびに彼の口臭がこちらに漂ってきて、我慢も限度と席を立とうかと思ったが、ちょうど真ん中の席だったのでそれも叶わず。わざわざ足を運んだのに踏んだり蹴ったりの夜。話は前後するが。
難波に出るのは久しぶり。開演時間まで30分ほどあったので、NGK前のジュンク堂で立ち読みでもしようと思っていたら、ない、なくなっていたジュンク堂が! 先月の京都のジュンク堂にも驚かされたが、こっちは「ドン・キホーテ」に変身してしまっているのだ。出版界の危機はここまで来ているのかとかなりのショックを受け、家に帰ってネットで調べたら、千日前のジュンク堂は、ビル所有者との契約更新がままならず、一年ほど前にやむなく移転とあった。むろん、真実のほどは分からない。
3日前。新しい住まい探しに奔走していた途中、駅のポスターで、京都国立博物館で「若冲展」が開催されていることを知り、それを見に行く。初めての京都国立博物館。なんとご立派な建物。「若冲」以外にも、泉湧寺の秘物、大阪・金剛寺の大日如来座像をはじめとする国宝級の彫刻の展示等あって、充実の約二時間を過ごす。それで入館料がなんと、たったの520円! 一方、素人芝居同然の「女だらけの~」は3千円。この芝居に関わった人々は、この入場料のあまりの大差をどう思うのだろう?