暇のないひとは、なにもしないひと。2017.04.24
「チュニジアの歌姫」を読む。年頭のブログに書いた「全自作のデータ化」にとりかかるためだ。これは、JIS企画の第2回公演のために書き下ろしたもので、掲載されている雑誌「テアトロ」は1997年3月号だから、嗚呼、上演からもう20年も経つのだ。出演者のひとり、菅野(美穂)さんはあの時20歳くらいだったはずで、当然のように可愛かったのだが、あの頃の初々しさをいまも失っていないところが彼女の素敵なところだ。
「チュニジア~」から始めようと思ったのは、上演した舞台が悔いの残るものだったからだが、久しぶりに読んでみると、意外や、思っていたほど退屈なものではない。舞台がイマイチなものになったのはおそらく、ホンの出来上がりがあまりに遅く、演出の方に時間をかけられなかったからだ。まあ、あの頃はいつもそんな状態だったのだが、この作品は、河内(桃子)さん、益岡(徹)さん、伊藤(正之)くん、それに菅野さんと、わたしとは初めてという出演者が多く、だから、ホンの遅れが致命傷となったのだ。関係者の皆様、ほんとにゴメンナサイ🙇今更ですが。
戯曲の巻末に記した引用・参考資料の中に、「リヒテンベルク先生の控え帖」(池内紀 編・訳 平凡社刊)があり、本棚を探したのだが見当たらず。多分ブックオフに売ったのだろう。購入せねばとAmazonで検索したら、新書なのにこれが結構なお値段。うーん。先日、思わぬところから出てきた横尾忠則のエッセー集「方舟から一羽の鳩が」(1977年 講談社刊)、まったく記憶にない本だったので、これは稀覯本かもとAmazonで調べたら、ここで書くのは忍びないほどの安さ、人々の嗜好は測りかねる。しかし、両著を読み比べればこの値段の違いには納得がいく。
リヒテンベルクは、18世紀のドイツの物理学者だということだが、本の内容は、ウィットと慧眼にとんだ彼の「警句集」といったもの。「チュニジア~」の中の台詞の多くを、この本から引用したはずだが、手元に本がないので、どの台詞がそうなのかよく分からない。ダークという獣医が登場するのだが、次なる彼の台詞はどうなんだろう?
酒と女と歌を愛さぬものは、生涯の痴れ者。
今回のタイトルは、以下に掲げるものと同様、いまも頭の片隅にあるリヒ先生のグッとくるお言葉だ。
自分は生まれる前に死んでいたのであり、死によって、再びあの状態に戻る