竹内銃一郎のキノG語録

ひつじつながりの奇跡?!2017.05.29

明け方、おかしな夢を見た。小さな映画館のロビー(と思われる場所)がひとで埋まっている。昨日書いた「竹内銃一郎集成」を見るためにやって来たひとたちだ、多分。わたしの知り合いの顔も幾つか。木場(勝己)さんも家族連れで来ている。奥さんとそれからまだ小学生くらいの娘さんが三人。うん? 彼の娘はひとりのはずだし、もうそれなりのいい大人になってるはずだが …? 更におかしなことには、木場一家も含めロビーにいる全員が、なぜか白いモコモコとしたセーター(のようなもの)を着ている。「ああ、これは …」と、すぐさまそんな夢を見ている理由に思い当たる。昨日、アイスランド映画「ひつじ村の兄弟」(監督G・ハゥコーナル)を見たからだ。

タイトルそのまま、ひつじを飼っている兄弟のお話だが、おそらくわたしと同じくらいの年齢の爺さんふたり、隣に住んでいながら40年口をきいていないという設定。村のひつじのNO1を決めるコンテストから始まって、そこで兄のひつじが一等賞を取る。しかし、弟は優勝した兄のひつじは伝染病にかかっているようだと、村の保健所に連絡し …という具合に話は展開、あれこれあって。最後は、激しく吹き荒れる雪の中、凍えて死にそうな弟とそうはさせじとする兄とが、醜い裸をさらけ出して激しく抱き合うという、切なくもおかしいカットで終わる。まことに奇妙な映画だが、そんなお話よりもわたしの興味を惹いたのは、ひつじたちの可愛さだ。モコモコしたからだを左右に揺らしながらトコトコと歩く姿といい、その顔つきといい、もう可愛いのひとこと。近年とみに、犬猫可愛やの声が高まっているようだが、みんなひつじの可愛さを知らないのではないか。なぜ兄弟は吹雪の中で抱き合っているのか、等々、物語の詳細には触れずにおくが、この映画、ひつじの可愛さを前提に作られているはずだ。むろん、わたしの夢の中に登場した人々が一様に白くモコモコしていたのも、わたしがひつじの虜になってしまったからである。しかし、話はこれで終わらない。

ベッドを出て、現在わたしの唯一のお楽しみTV番組「よ~いドン!」を見る。月・火は円広志が関西各地のいろんな町に出かけて、面白いユニークなひとのお話を聞く「となりの人間国宝さん」のコーナーがあるのだ。今週は京都の龍安寺駅近辺。最初の「人間国宝さん」に認定されたのは、拾った猫と一緒に楽しい人生を送っているという、喫茶店をやっている女性で、ああ、猫もいいんだけどねえ、でもひつじの方が …と思いながら見ていたら、な、なんと、円が次に出会ったのが「原毛屋」を経営している女性で!! 原毛屋というのは、世界各地から羊毛を輸入し、それを毛糸に仕上げる商売。彼女は、20代後半にさしかかった時、ニュージーランド旅行に出かけ、そこでひつじと出会い、そして、原毛屋の存在を知って、これこそ「わたしの生きる道」と直感したらしい。しかし、こんな奇遇ってありますか? いや、原毛屋の彼女ではなく、わたしの話です、映画ー夢ーTVが「ひつじ」でつながるなんてこと!

 

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