竹内銃一郎のキノG語録

台風一過と完敗完敗、イテテ。2017.10.23

朝、スポーツ新聞を買いに行く途中、七条大橋から鴨川を見下ろすと、もの凄い勢いで濁流が。普段はのどかな風景が同じものとは思えない荒々しさに一変。これほどに過激な変貌を見せる俳優がいたら、いくらでもお金を積んで、一緒に芝居をと誘うのだが。

家に帰って昨日の菊花賞の録画を見る。パドックの映像を見ると、勝ったキセキが出走馬中ダントツの出来で、わたしが大穴をあけるのならこの馬と思っていたクリンチャーも上々の出来で、2着入着。本命に推して、この馬から馬券を買ったトリコロールブルーは、明らかに入れ込んでいて、長距離戦でこの状態では勝負になろうはずがなく、結果15着。通常通りTVでパドック診断をした上で馬券検討をしていたら、万馬券になった馬連は間違いなく買っていたはずで、く、口惜しい。完敗。

ステージを重ねるごとに客席が寂しくなっていった今回の公演。台風が接近してきていた楽日は2、3人になってしまうのではと思っていたが、かろうじて昨日の夜の部を上回る。舞台の出来はかなりのもので、とりわけ、保がひとりで演じた「東京物語」は素晴らしい出来。前回にも書いたが、これほどの芝居がごくわずかな観客の目にしか触れることがなかったこと、返す返すも口惜しい。「これはリーディングじゃないですね。こんな面白いお芝居、久しぶりです」「スピード感が凄い。次の公演にも来ます」等々、複数の見知らぬ方々に声をかけていただいたのが、せめてもの慰めにはなったが、興行的には完敗で、少額予算での興行だから赤字になったとは言ってもさほどの額ではないが、支出が収入の倍額になったのだから、想像を絶する絶望的な完敗だ。

昨日の選挙の結果が出た。一か月ほど前の週刊誌には、与野党接戦必至、安倍政権の崩壊も? などと書かれていて、ホンマかいな? と思っていたが案の定。希望の党の突然の出現が選挙戦の様相を一変させたのは明らかだが、相変わらずマスコミの言うこと書くことはいい加減だ。それに加えて、外れた予想の反省や謝罪の言葉を公にすることなど決してしない、ひとには執拗にそれを要求するのに。立憲民主党の予想外とも言えそうな健闘はあったものの、野党完敗。うつろい易い民意をどうしたら的確にキャッチ出来、そして、自分(たち)の方に引き付けることが出来るのか。これはわたし(たち)のように、演劇(表現)にたずさわる者にとっても、越えなければならない重要課題である。面白い芝居を作り続けていればいつか客は集まる、などといった正論はもう通用しなくなっている。そう、いったいどういう手を使っているのか知らないが、さほど美味しいわけでもない飲食店に、いつも長蛇の列が出来ている不思議はそこかしこで見られる光景で。そもそも。わたしの先はそんなに長くはないのだし …。

一覧