竹内銃一郎のキノG語録

ああ、エンケンが …! 泣くもんか。2017.10.26

エンケンが亡くなった。以前にも書いたが。さほど親しいわけでもなく、たった一度だけしか会ってないのに、更には、長く敬意の対象であったひとをつかまえて呼び捨てで書くのは、「エンケンさん」とさん付けにすると、なんだか「ビリケンさん」みたいでしっくりこないからだ。全然違う。

確か一昨年の5月だか6月だか、ヤフーニュースでエンケンが癌で入院していることを知ったのだが、驚いたのは、入院したのが3月とあったからで、なぜそんなに驚いたのかというと、間もなく入院という時期に、MODEの「あなたに会ったことがある・4」を見に来られていたからだ。多分、彼と親しい佐野さんが、劇中で「夢よ叫べ」を使ってることを彼に知らせ、それでわざわざ足を運んでくれたのだ。今年の1月に、京都で佐野さんと会った際、エンケンのからだのことを聞いたら、「大丈夫みたいだよ」と言っていたので、よかったよかったと思っていたのだが。

さっきウィキで「遠藤賢司」の項を見て、自分の記憶がテキトーだったことを知る。彼の名前・存在を知ったのは、「あの大鴉、さえも」で、音響担当の野口が劇のバックに流した「ほんとうだよ」を聴いてからだとずっと思い込んでいたが、その前に、NHKのTVドラマ「さすらい」でかの「カレーライス」を聴いているのだ。「大鴉~」上演は1980年、「さすらい」放映は1971年である。しかも。姉の家に居候してた頃、暇にまかせてギターを弾きながら、「カレーライス」を歌っていたのは、芝居を始めるずっと前の話で、そのことを以前にブログにも書いているのに、今日の今日までなぜその間違いに気づかなかったのか? わしはバカか? エンケン関連の記憶違いはまだある。先に、「大鴉~」で「ほんとだよ」を使わせてもらってと書いたが、いま、本を見てみると、その記述がない。「大鴉~」には、戯曲の上に、照明・音響のキッカケが書いてあり、そこで使われた曲名も付されているのだが、「ほんとだよ」はどこにも書いてないのだ。確かに使ったはずなのに? 推測するに、これは初演の記録で、再演の時には、初演では別の曲を流していたところに多分、「ほんとだよ」を使ったのだ。前述の野口の、再演では全編、自分が作ったオリジナルでいきたいという申し出をわたしが拒否し、それで初演とは微妙に変えた選曲になったと、こういうことだろう。ラストに「星空のワルツ」を使っていて、エンケンの別の曲も使おうと、わたしがそうしたのかもしれない。でも真実は分からない。

生きとし生けるものはいつかなくなる。でも、エンケンの曲はこれからもいつでも聴ける。さっき、YouTubeを開いたら、彼が歌う曲名がズラズラと出てきた。どういう事情があるのか知らないが、中島みゆきの歌は、知らないひとがcoverしたものしか視聴出来なくなっているのに。こういうところがエンケンなのだ。もうひとつ。ウィキにあった記述で驚いたのは。以前にこのブログでエンケンのことを書いた際、「世界同時多発フェス HUKUSHIMA」で歌った「夢よ叫べ」の最後のパフォーマンスが、江頭2:50にそっくりと書いたのだが、実に、エンケンと江頭は互いに共感しあう同志、とあったのだ。ああ、やっぱりエンケンはちゃんとやっている(過去形ではない)。久しぶりに、「夢よ叫べ」のPVを視聴して、やっぱり泣いてしまった。

 

 

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