竹内銃一郎のキノG語録

さあ、始まりマッセ。「竹内銃一郎集成Ⅳ 耳ノ鍵」解題①2018.01.18

さあ、いよいよ後半戦の始まりだ。3月上演の「耳ノ鍵」のラインナップは以下の通り。

少年巨人(1976年初演 斜光社) 家族の禁忌に触れた息子にむけて、父(自称・ミスター)が放つ愛憎込めた千本ノック! A・ジャリの小説「超男性」と長嶋茂雄(=ミスター)とチャンバラトリオに捧げた、劇作家・竹内の衝撃的デヴュー作。

東京大仏心中(1992年初演 東京国際演劇祭) 函館から東京旅行にやって来た、父と娘。その最後の夜。父は結婚式を間近に控えた娘から思いもよらぬ告白を聞く。それは …。小津安二郎の名作「晩春」をベースに書かれた、父と娘の誰も知らない究極の愛の物語。

モナ美(2000年初演 カメレオン会議) モナ美とトモ世。ふたりが初めて会ったのは小学校の入学式の時。それ以来、ふたりの友情は、時に揺れることはあっても変わらず続いていた。しかし、ある事実の判明がその永遠に続くと思われた関係を …。数十年にわたる切ない友情物語。Mon ami=わたしの友だち。

マダラ姫(2004年初演 JIS企画) 本番を間近に控えて突如連絡が途絶えた、気鋭の劇作家・班目正午。真相を探るべく、北国の海辺にある彼の仕事場に来た演出家の心・平と女優・さきを迎えたのは、正午と瓜二つの妹、あさひだった。謎が謎を呼んで哄笑を招く、双子の兄妹をめぐる奇想のミステリー。

「家族の深淵に、愛にいく」という、なにやら思わせぶりな今回のキャッチコピーの説明は、とりあえず後回しにして、前回の上演中にふと気になったことから先に書こう。それは、「ちょっと死者の数が多すぎない?」というもの。最初の「夢ノ旅路」から5月に上演予定の「動植綵絵」まで、ピックアップした戯曲のすべてを調べてみたところ、死者35+α名、生死不明者4名という驚くべき調査結果が出てきた。死者35名のうち14名は、「氷の涯」に登場するイワンが手にかけたもので、αは、「風立ちぬ」のラストで落ちた原爆による、見当がつかない死者数を意味している。さらに驚くべき数字は、全25本のうち誰も死なない殺されないのは、わずか4本。やっぱ竹内はフツーじゃないわ。この<ふつーじゃない>を別角度から照明を当てて明らかにするのが、今回の「耳ノ鍵」。ざっくり書いてしまおう。今回の4本いずれも、近親相姦臭ふんぷんたる危ない作品なのだ。なにがどう危ないかについては次回から順次。今回はこの辺でお開きと致します。

あ、お知らせすべき大事な情報を書き忘れてた。公演日時は、3月2日(金)~4日(日) 公演場所はこれまでと同じ千日亭。出演は、レギュラーの武田操美、A級MissingLinnkの林田あゆみ、匿名劇壇の福谷圭佑、特別ゲストとして松本修、それにわたしの5名。公演の詳細とチケットのご予約は、キノG-7のHPまで。よろしくお願いします。

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