竹内銃一郎のキノG語録

「モナ美 改訂版」データ化完了2018.10.04

これまでのデータ化同様、校正ミスの修正、「ええっ?」「そう」「うん」等々の、余計な台詞アタマの削除、語尾の削除及び修正、句読点の削除及び位置の修正等々の細々な手直しにほぼ終始。細々と言っても100箇所ほどに手を入れているので、それなりの大仕事ではある。台詞の削除を幾つか、新たな書き換え及び挿入も幾つか。当初はモナ美の母の死に触れるつもりでいたが、入れどころが見つからず断念。結果として大筋にさしたる変わりなし。ただ、原本とした「テアトロ 2000年12月号」掲載のものには、三つしかなかった(注)が9つに増えた。それを以下に記す。

注1  この林檎の木は、劇の幕が下りるまでずっと、同じ位置に変わらぬ外観で立ち続ける。
注2  この劇の時間の流れは通常とはいささか異なる。「それから十年後」とは<仮の設定>である。S2の時代          設定は1960年代後半であるが、S1のそれは、1920年代と想定している。このオカシナ設定は、20世紀の百年を劇の中に詰め込みたいという無謀な試みから生まれたもので、以下に続くシーンも同様だと受け入れられ
たい。同様の理由から。モナ美とトモ世の衣装・髪形等の外見は、シーンが変り、時間がどれだけ経過しても、不変でありたい。「ひとは時間の経過とともに外形は変わっても、中身は変わらない」というのが、多くの方々の通常の認識であろうが、この作品はその常識に逆らい、「ひとの中身は変わっても、外形はさほど変わりない」という考えのもとに書かれている。
注3・4 手紙の誤読及び修正は、演者及び演出家の裁量に委ねます。
注5・6・7 いずれも、東大全共闘会議編「東大闘争反撃宣言 果てしなき進撃」(三一書房)を参考としています。(感謝!)
注8  S2・3の、トモ世の部屋とほぼ変わらない。
注9  S1の、モナ美の部屋とほぼ変わらないが、下手には漆原家のリビングがある。

ま、これだけ読んでも「なんのことやら?」とは思いますが。舞台は演出家・現場に委ねるというのが、作家としてのわたしの基本姿勢ですが、舞台にはずっと林檎の木が立っているとか、モナ美・トモ世の衣装は変わらないとかは、この作品の肝心要なので、作家の指示通りにやっていただきたく …。それと、登場人物表に、「モナ美、トモ世役の俳優以外の出演者は、それぞれ複数の役を演じることを前提に書かれている。」もつけ加えた。

昨日、比叡山延暦寺に行き、延々と続く坂道にへろへろになったが、今日朝起きてみたらすっかり疲れもとれていて。うん? 結構な修行になったのかな?

つぎはどの作品のデータ化にとりかかろう。どっかからまだデータ化してない作品を、「上演したい」というお声がかかれば、ヤル気になれるのだが …

「モナ美」、お読みになりたい方は、遠慮なくご連絡を。泣けるんだなあ、これは。

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