竹内銃一郎のキノG語録

心地よいリズムを獲得するには?  稽古日誌⑤2019.08.05

暑い! ここにきての連日の暑さは尋常ではない。同様の暑さであった去年はいったいどんなものだったのかと思い、一年前のわたしのブログを覗いてみると、驚くべきことが。「猛暑下で見た夏の夜(朝?)の夢、なんて下らない!」というタイトルで書かれた7/31分である。ニュース等で連日のように繰り返されている、熱中症予防のための「エアコン奨励」は、家電量販店や電力会社等への忖度ではないかという前段に続き、明け方に見た夢のことが書かれている、その内容は、わたしが秘法アトリエでの公演に俳優として出演していて、間もなく出番だと言うのに全然台詞が入っておらず、とにかく覚えねばと自分の台本を探すのだがなかなか見つからず、他の出演者に借りようとしても、持ってないという返事が連発されて怒り心頭、そして以下の文章。

そうだ、相手の台詞を聞けば思い出すはず、それで無理なら、とにかく相手の台詞に「なるほど」「いや、それは …」と適当に返せばいいのだと腹をくくって舞台に出ようとした時、ハタと、ズボンを穿いていないことに気づく。わたしはずっとパンツ一丁だったのだ。どうしよう?! さすがに誰かのズボンを剥ぎ取るわけにもいかず、ええいと上着を脱いでそれを下半身に巻き、いざ舞台へ、というところで目が覚める。

この時点では自分が俳優として舞台に出ることなど考えておらず、ましてや、よりによって最後にパンツ一丁になる「今は昔、~」の出演なんて。上記の文章に続きこの夢を見た理由として、TVで見た映画「オペラ・ハット」(F・キャプラ監督)で、主役のゲイリー・クーパーが酔っぱらってパンツ一丁で夜の繁華街を歩いていて …、というシーンがあったことを挙げている、むろん、この話と今度の「今は昔、~」の上演・出演とはなんの関係もないはずだが …。あれは正夢?

先週土曜の稽古を撮った映像が丑田から送られてくる。以前に見たものよりもレベルが一段上がっていて少しホッとする、むろん、目指す頂上はまだまだ遥か彼方ではあるのだが。稽古は全体の半分、33頁ある台本の17頁まで進んでいる。そこまでの台詞はほぼ頭に入ったが、まだ体全体には浸透しておらず、松本くんともども、相手の台詞が終わってから自分の台詞を繰り出し、確かに<会話>としては成立しているのだが、そのゆったり感が心地よいリズム・テンポを欠く原因になっている。もうひとつ。ひとつの台詞を言い終えるとホッとするのか、体が緩むのだ。以前にも書いたように、発語前・発語中・発語後はいずれも同等の気をもって演じなければいけない、発語後は即ち発語前につながるのである。発語後の気=体の緩みがリズム・テンポの損ないになるのだ。17頁で48分ほどかかっていて、ということは幕が下りるまで90~100分かかってしまう。これはマズイ。「眠レ、巴里」はおそらく60分前後、てことは、今のままだと間に入る舞台転換の時間も含めると3時間近くになってしまう! 舞台を広く有効に使えていないことも気になるのだが、とりあえずは、全体を二時間半以内に収めることを念頭に置いて演出にあたろう。

 

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