竹内銃一郎のキノG語録

演劇の勉強をしたかったら …2019.11.29

今週月曜から二泊三日、道後温泉で過ごす。あちこち40キロ超を歩き、温泉に3時間、すこぶる快適な日々を過ごす。松山は思いのほかの大都市でそれに驚く。また行こう。

たるみかけてる脳に刺激を与えるためにと、このところ続々と書籍購入。四条河原町のジュンク堂には、多分時折、古本のコーナーが設けられており、以下はこの10日ほどの間にそこで買い求めた書籍リスト。秋山真志「職業外伝」(ポプラ社)、ジャン・ルノワール「ジョルジュ大尉の手帳」(青土社)、クレイグ・クレヴェンジャー「曲芸師のハンドブック」(ヴィレッジブックス)、「イメージフォーラム インタビュー 映画監督・世界のカメラマン・プロデューサー」(ダゲレオ出版)、そうだ、松山の古本屋で前田英樹の「定本 小林秀雄」(河出書房新社)を。最初に挙げた「職業外伝」は、飴細工師、俗曲師、へび屋、幇間、真剣師、等々のいまは消えつつある職業の現役の方々へのインタヴューと、その職業の歴史をからめながら書かれたもので、まだ全部は読んでいないのだが、作品全体が飄々とした味わいで相当に面白く、このところ、トイレで<大きい方>を乾坤一擲ひり出しながら少しづつ読んでいる。

ついでだから最近読み終わった新刊も書き留めておこう。四方田犬彦「無明 内田吐夢」(河出書房新社)、高橋ユキ「噂が5人を殺したのか? つけびの村」(晶文社)、雑誌「野球太郎 2019ドラフト総決算」(廣済堂出版)。「無明」の中の「宮本武蔵」の項は緻密に書かれていて敬服。それで、久しぶりに吐夢さんの「武蔵」を再見。改めて、なにもかもが今どきのこの国の映画・TVドラマとは違うなあ、とため息をつく。とりわけ名優つぶ揃いの俳優陣に。武蔵を演じる錦之助や沢庵役の三国連太郎は言うに及ばず、お通を演じる入江若葉さん、決して名優ではないけれど、なにがあってもいつまでも武蔵を待ち続けるけるその姿はひたすらけなげで、こんな純な女優さん、現在はどこにもいまい。彼女とは一度、お話したことがある。たまたまなにかの酒席でご一緒し、隣の席に座ったのだろうか、その店を出て家に帰る電車の中でも20分ほどふたりだけで楽しくお話したのだった。そう、初対面だったのに実に楽しく。あれはいつのことだったのか。

「月ノ光」改訂作業、まずは順調に進行。が、前回書いた、20歳の頃の作品と同一人物の作品とはどうしても思えず、そのことが時々頭をよぎって作業を中断す。しかし、年内中には終えられるはず。

今回のタイトルは、前述した「イメージフォーラム インタビュー」の冒頭に置かれている、J・ジャームッシュへのインタヴューのタイトル、「映画の勉強をしたかったら野球の研究もしたほうがいいんだよ」から借用・変形したもの。やっぱりJ・Jは面白い。

 

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