竹内銃一郎のキノG語録

愛しきジュジュ まさに衝撃的笑劇「リラの門」!2021.03.21

先週に続き今週の日曜も雨。ショーケンは、あれは彼が幾つの時だったのか、クスリで仕事の現場から干された時、心と体の一新をと、雨が降ろうが槍が降ろうが毎日20キロ歩いてたと言っていたが、わたしは雨が降ったら表には出ない。

そのショーケン主演の「前略 おふくろ様」、数カ月前から毎日曜の朝8時に放映されていて、今日はその24回、あと2回で一部が終わる。しばらく中だるみが続いていたが、先々週あたりから俄然面白くなっている。今回はショーケンを筆頭に台詞が少なく、みな黙って虚空を眺めているカットが多いのだが、そこがいい。中でも、驚くべき事実を知り黙って静かに階段を下りる、無表情の丘みつ子のなんと切なく美しかったこと!

「恋愛日記  ’86春」のチラシもやっと完成に近づく。6/11、12の14時の回の終了後にアフタートークを予定していて、どなたをゲストに呼ぼうかと思案投げ首の挙句、わたしの知り合いではなく、知らないけれど話してみたいと思っているひとがいいのではと考え、武田(操美)さんにサリngROCKさん、森脇くんに中村彩乃さんと、それぞれ声をかけてもらって快諾をいただき、これでチラシに必要な情報が全部揃ってと、こういうわけである。

とりあえずひと段落ついたので、久しぶりにTVで録画した映画を見ることに。あれこれ悩んだ挙句、10年ほど前になるのか、「夜ごとの美女」を見てすっかりファンになってしまった、ルネ・クレールの「リラの門」を見ることにしたのだが、これがもうとんでもない傑作で。なんの予備知識もなく見てしまったから驚きがハンパなく。

主役は太っちょの中年男=ジュジュ。冒頭は夜の居酒屋が舞台。ギターを弾きながら歌う男がいて、それをバックに(?)、ジュジュは店の酒を盗み飲みしている。それを見つけた店のオヤジは、当然のように声を荒げて彼を店から叩き出すのだが、しかし、そんなやりとりは毎夜のことのようだ。ジュジュは無職で、毎日のように近所に住む、「芸術家」と呼んでいる前述のギター弾きの家に入り浸っている。ある日、事件が起こる。殺人犯が彼らの住む町に逃げ込んだというのだ。そしてなんと、その殺人犯が「芸術家」の家に逃げ込んで …

上記の3人の男と居酒屋の娘が物語の中心なのだが、警官、居酒屋の客たち、近所の10人ほどの子ども達、さらには、「芸術家」が飼っている猫等々が前記の4人に絡んで物語を活性化する。そのおかしさといったら! 物語自体に不可解なところはなにもないのだが、にもかかわらず、先行き不明で最後はどんな風に終わるのか見当がつかない。これは凄い。

感想がうまくまとまらない。日を改めてこの続きを書こう。

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