竹内銃一郎のキノG語録

武田操美賛! 「恋愛日記」の稽古日記①2021.05.12

予定では、今日から京都芸術センターでの稽古が再開のはずだったのだが、緊急事態宣言の期間延長で出来なくなってしまった。しかし、以前にも書いたが、出演者の藤原さん紹介の劇団京芸の稽古場を、申し訳ないほどの低価格で今月末まで使わせてもらえることになり、アリガタヤアリガタヤ。一方、公演場所のE9、また前回同様、20時までに劇を終わらせ、客席も44席以下にとの要請があるかも? と覚悟をしていたら、とりあえず現時点では22時まで使用OKで、客席も上限60席までOKだとか。ヤレヤレ。ただ、現在の国民の多くが不要不急の外出に待ったをかける、鬱々の日々を送っている(?)なかで、はたしてどれだけのひとが劇場まで足を運んでくれるかと考えると ……。わがブログを愛読して頂いている皆様、ド、ド、どうかよろしく。
稽古は昨日から予定通りレベル2に入った。出演者全員、ほぼほぼ台詞が入ったので立ち位置等々、こちらからの一段と細やかな指示が増える。わたしの演出は初めての諸兄は、少なからずの戸惑いがあるかに見えるが、それは当然のこと。時間はまだあり、みな前向きで熱心だからなんとかなるはず。
前回公演「さいごのきゅうか」に続く出演者の岡田さん、本多さんは、前回公演の稽古当初のことを思うと、一皮二皮剥けたかのよう。本多さんの台詞、そして一挙手一投足すべては笑わせてくれるし、ひとりの男をめぐって同僚の女性と激しく言い争う役を演じる岡田さんは、相当の迫力。また、わたしの芝居には数年ぶりの出演となった武田さんがまた、例によって例の如く、面白いのなんの。
彼女と初めて会ったのは20数年前。伊丹・アイホール制作で上演した「みず色の空、そら色の水」のオーディションだった。その二、三年前に、わたしが選考委員をやっていたOMS戯曲賞の最終選考に彼女の作品があって、名前だけは知っていたが、オーディションでの彼女の演技は抜群の面白さで合格。稽古終了後の飲み会であったか、わたしの「SF・大畳談」を中学生の時に上演・演出をしたと聞かされて驚き、さらに、彼女の常識では、「本を出してる作家はみな亡くなっていると思っていたので、竹内さんが生きていることを知って驚いた」というのでわたしは驚き、感激もした。彼女ほど演劇を愛で、必要としている演劇関係者をわたしは知らない。とにかく、演じることへの傾斜角度は凄まじい。間違いなく、こんな彼女の存在が今回の芝居の大きな原動力になっているはずだ。
今回の彼女が演じるナガヤマは、会社の若い同僚たちに陰で「お局様」と呼ばれるうるさい年長女性で、まさに彼女の適役なのだが、出番は9シーンのうちのワンシーンのみなのでオファーするのをためらったが、断られてもいいやと思いつつ頼んだら即座にOKの返事が。いやあ、よかったよかった。
前述したように、彼女は中学生の時から30余年、一時期は年に10本ほど出演した年が幾年も続いたとか。だからおそらく、脚本・演出で関わった作品も含めれば、これまでゆうに200本を超える作品に関わって来たはずで(うち、わたしの作品には10本余)、だから(?)、なんとかもう一本、わたしの芝居に出演をお願いして、それが彼女の演劇キャリアをさらに引き延ばす力になれば、と。

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