竹内銃一郎のキノG語録

可笑しくて切なくて キノG-7公演「恋愛日記 ’86春」パンフ原稿2021.06.06

 可笑しくて切なくて
2019年10月公演の際に、「あと3年あと5本」というキャッチフレーズを掲げたわたし、
その3本目となる今回の「恋愛日記 ‘86春」はタイトル通り、35年前が初演となる作品で、タイトルに「F・トリュフォーに捧ぐ」と添えられているのは、彼の映画のタイトルを借用し、更に、ふたりの姉妹との恋愛に右往左往する男を物語の核としている彼の映画「恋のエチュード」を、この劇の下敷きにしているからでもあります。
 世間の少なからずの方々も、一度や二度は「恋愛に右往左往」された経験はあるかと思います。なので(?)、この劇では、主人公のオオスギのみならず、他の男女の少なからずもまた<禁断の恋>に身を焦がし、苦闘を重ねます。それが可笑しくて切なくて。
笑いあり涙ありの、言うなれば<物語の王道>を目指すのは、昔も今も変わりません。わたしのすべての作品には、世間で言うところの「社会的なテーマ」など、恥ずかしながらありません。いや、「可笑しくて切なくて」こそ、人類を含めたすべての生物にとっては、生きていく上で必要な<永久不滅>のテーマかも?
延々と続く緊急事態宣言下状態。おそらく、世間の少なからずのひとは、不要不急の外出まかりならずのお達しを、当初は我慢我慢でしのいだものの、今年に入ってからは、不満不快はありつつも、哀しいかな(?)習うより慣れろで、マスク常用に違和感がなくなり、ひとが集まる映画館・劇場等に出かけるのを我慢するのにも、すっかり慣れてしまったのだと思います。であればこそ、今回の公演に足を運んでくれた皆々様に、いったいどんな言葉で感謝をお伝えすればいいのか。
ありきたりで恐縮です。本日のご来場、まことにありがとうございますゥ。

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