竹内銃一郎のキノG語録

こんなことってある?信じられない話、ありえない再会!2021.09.10

先週、久しぶりに直珈琲に出かけて、あれこれと映画のことを話しあっていたのだが直さん、意外にも、ハワード・ホークスの映画は一本も見たことがないと言うので、昨日、ホークスの「暗黒街の顔役」「リオ・ブラボー」のDVDと「ジャンル別映画ベスト1000本」(学研M文庫)を持って、店に出かける。「ジャンル別~」は20人の映画評論家がギャング映画、恋愛映画等々のジャンル別に、自分が好きな映画50本を挙げていて、暇つぶしには最適の書だ。買ったのは多分ブック・オフかなにかで10年ほど前だったはず。もう何度も読んだので彼に進呈したのだ。そんな話や、「暗黒街~」は柄本さんに、「リ・ブラボー」は鴨下さんに、作品の素晴らしさを聞かされて …などと話していたら、「さいごのきゅうか」「恋愛日記」を直さんと一緒に見に来てくれた某氏と某女(名前が覚えられない 泣)が顔を出され、信じられない話を聞かされる。
「さいごのきゅうか」のラストで出演者全員で歌った宮本浩次の「異邦人」、「恋愛日記~」の最後に流したイズラエル・カマヴィヴォクの「虹の彼方」、ともに、わたしの2本の芝居を見るそれぞれの一週間ほど前に、前述の某氏が直珈琲に顔を出し、「これを流してくれ」と直さんにCDを渡したというのだ。一週間前に聴いた歌が芝居のラストで流れたので驚きました、と言われたが、それを知ったわたしの方が多分驚きは大きいはず。こんなことってアル⁈ 
てなことを話していたら、新たに店に顔を出したのが、ナ、ナントかの角野卓造!! 彼と会うのは何年ぶりだろう? 
多分アレは、旧真空艦へ芝居を見に行った時だから30年ほど前か。彼も同じ芝居を見に来ていて、終演後、彼の方からわたしに声をかけたのは、昨日の彼の話からすると、一度だけ、わたしが文学座のアトリエ公演用の戯曲を依頼された時、彼はアトリエ公演になにをやるかについて討議するメンバーの一員だったからだ。その時、数年前に亡くなった村井健氏(旧桜田)、かって旧真空艦の旧メンバーだった小田さんも一緒だったのかもしれない、みんなで出かけた飲み屋で思わぬ事件が。わたしの記憶ではそれほど飲んでいなかった桜田さんが、文学座のなんとかって芝居はなんて下らないんだ、あれでいいのかと、角野さんにむかって暴言を吐き散らしたのだ。角野さんは話の対象になっている芝居の関係者ではないので、「わたしに言われても …」などと返答していたが、それを聞いた桜田さんはさらに息巻いてナンダカンダと。桜田さんがトイレに出かけた時、角野さんはわたしを相手にぼやくぼやく。
と、そんな思い出話をしたら、「すみません、まったく覚えておりません」と角野さん。直珈琲に顔を出した時、彼はずいぶん酔ってもいたのだろう、現在の日本の政治等について非難につぐ非難を繰り返し、最後は、爆弾を抱えて飛行機に乗って国会議事堂に飛び降りてやりたいなどと。笑った笑った。
と、ここまで書いた時に、奥さんから「土橋さんが出てますよ~」と。草彅剛が進行役をやっているNHKのTV番組に、A級Mの土橋くんのお父さんが出ていたのだ。彼のお父さんとは、わたしがA級Mの芝居に関わった時に、二度三度とお会いしているが、その数の倍数以上の回数、お父さんはTVで見ている。彼はいまや全世界にひとりしかいないらしい砥石の原材料を発掘して砥石を作り上げる偉いひとなのだ。見るのは久しぶりだったが、全然老けていないのに驚く。さすが現役!

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