竹内銃一郎のキノG語録

「モナ美」の稽古、始まる。報告①C・イーストウッドを見習って2022.04.03

4月1日(金)から「モナ美」稽古in。しかし、初日から思わぬことが。オーディションで入った大野さんが、新コロちゃんかも? と表明したのだ。彼女は先月末まで東京のワクチン接種会場でバイトしていたのだが、一緒に働いていたひとの陽性が発覚、彼女は検査で陰性であることが判明したのだが、再度検査をするよう指示が出ているとのこと。先月、今回の舞台監督・北村が舞台監督をしていた公演が、本番直前に出演者の陽性が発覚して中止になったらしく、いまは陰性でも2,3日後の再検査では陽性が発覚するかもしれないので、彼女には一週間ほど稽古を休んでもらった方がいいと提言。そのことを大野さんに伝えたのだが、今朝、彼女から「陰性でした」と書かれたメールが届く。やれやれ。
稽古初日、2日は「本読み」。大野さんに他のメンバーの輪から離れたところで台詞を読んでもらった初日は、始まる前にいつも稽古で繰り返し言っている、「本に書かれている句読点は、目で読みやすいように置かれているのに過ぎず、だから、そこで台詞を切り刻まないように。読み手は自分の判断で句読点をふって台詞を言うこと」、「現在の多くの俳優は、最初の音・言葉に力を込めていい、言葉を重ねるたびにどんどん調子が低くなってしまうが、これは大間違い。日本語は、最後まで言わないと、なにを言いたいかが分からない。だから、最後の言葉にピントを合わせて台詞を口にすること」等々を話したが、よほどのことがない限り、止めないで最後まで読んでもらう。上演時間はおそらく2時間前後になるはずだが、初日の本読みに要した時間は100分ほど。緊張しているためか多くが早口になってしまったこともあるが、実際の芝居では7回あるシーン転換が、読み合わせ時にはその時間がないので、早く終わったのだ。
2日目は、かなりの頻度で止め、繰り返し多々あり。稽古時間は3時間だったが、結局、全8シーンのうちの6シーンで終わる。
「モナ美」の登場人物は全部で18人いるのだが、出演者は7人。武田さんが演じるのはモナ美のみ、平山さんもトモ世のみだから、他の16人は、残る5人で演じて貰うことになっている。もちろん、これはこの戯曲を書き始める前に設定したことだ。
シーン6終盤の、モナ美とトモ世ふたりだけのシーンは、わたしがこれまで書いた戯曲の中でも、おそらくいちばん好きなシーンだが、初日のこのシーンの読みがかなり高度に出来上がっていて、恥ずかしながらわたし、涙をポロリと。そうだ、このシーンで泣いてしまったことは、初演のDVDを見たと書いた時にも書いたな、と思っていまこの一か月の「キノG語録」をザッと調べたが、どこにも見当たらなかった。うん? ま、いいか。
本番までまだ1っカ月半、現在ですでにここまで来ていれば、このシーンはあまり稽古をしない方がいいように思うと、わたしはふたりに伝える。そう、「本番一回」を原則としているC・イーストウッドを見習おうとしているのだ。、

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