始まりの5分10分が勝負! 「モナ美」の稽古ノート②2022.04.06
わたしはこれまでこのブログを917本(うち2本は下書き)書いているらしい。このブログの最初の頁にそう書いてある。始めたのは、学生たちと作った劇団「DRY BONES」の多分最初の頃のはずだから、今年はざっと10年目。てことは1年間で平均90本、一月分は7~8本! ヒェー、よう頑張りましたなあ😵💫
4月5日、立ち稽古2日目。ズンどこ姉妹のステージがあるシーンに時間をかけようと思っていたのだが、3人のうちのひとり、どん子役の本多さんの弟が新コロちゃんになった、との報告が彼女からあり、彼女自身はなんともないとのことだったが、念のため、昨日と今日の二日は休むよう伝える。
ズンどこ姉妹は、以前に触れたことがあるはずだが、女性歌謡漫才トリオである。芸をお披露目する時間はせいぜい1分ほどだが、3人ともこれまでギターや三味線など触れたこともなく、おまけにネタは自分たちで作るようにと伝えているので、大変である。久しぶりに、本多さん抜きで、三味線の武田さん、トリオの代表でギター担当の平井さんに、ちょっと演奏をしてくれと頼む。一か月ほど前に比べたらずいぶん上達したように思ったが、まだまだ。10点満点の3点くらいだな、とふたりに伝える。
昨日の稽古は3時間ほどだったが、その大半はS1のみ。登場人物は5人いて、そのうちのひとり、大野さんが演じることになっている、コウ平(モナ美の弟)の担任教員マミヤ先生役は、このシーンの半ばに登場し、短い台詞を7つ8つ語った後すぐにいなくなる、言うなら軽めの役だが、大野さんが次に演じるのは、彼女の恋人でともに学生運動に関わっていた漆原を、自分には黙って就職先を決めたというので、トモ世の部屋で彼を激しく弾劾する来島の役である。つまり、180度違う役柄を演じる楽しさ面白さは、S!で優し気な女性を演じるからこそなのだ。だから、彼女の登場なく、S3に移るのはなんとも歯がゆいが、しょうがない。
S1の冒頭では、自分の部屋で横になっているコウ平しかいない。そこへトモ世がやって来て、しばらくなんのかのと言葉を交わしあうのだが、小学3年のコウ平は、姉のモナ美の友だちである彼女を密かに恋していて、彼女との対し方に苦慮をする、そうこうしているところへ、弟の牛乳を買いに行ってたモナ美が現れて ……。これがこの劇の冒頭数分。昨日、稽古場にいたメンバーにも伝えたのだが、芝居に限らず、音楽、映画、小説等はすべて、始まりの5分10分が勝負でここを高度に作らないと、観客は引くし、読者なら本を閉じるだろう、少なくともわたしはそうだ。このことを考えると、佐藤くん、きみの演技は …と、コウ平役を演じる彼に繰り返し相当厳しい言葉を並べる。これから一カ月強の稽古でひとが変わったような演技を彼が見せてくれたらと、念じずにはいられない。