竹内銃一郎のキノG語録

 ご挨拶  「満ちる」の公演に来られたお客に配布される挨拶文👻2023.04.29

 ご挨拶

本日ご覧いただく「満ちる」は、2012年に松本修氏からの依頼に応えて書き下ろした作品で、彼の劇団MODEでの上演が初演。わたしが本作を演出するのは今回が初めてとなります。
 昔から、新聞記者等からの取材があると必ず、「今回の作品のテーマは?」と聞かれ、わたしはソレナリの返答をしていたのですが、正直なところ昔も今も、目指すところはいつも「お客が笑って泣ける作品を」というものしかないのです。
 前述した初演で、タイトルとなっている満ちるの父で、映画監督の吉田健一を演じたのは、わたしが大好きだった、すまけいさんでした。この時のすまさんは76歳。台詞覚えに苦闘し、そんなすまさんに救いの手をと、あれこれ様々な手段を使った松本演出の離れ業は、現在、あの当時のすまさんの年齢に近くなって、記憶力が激減しているわたしでも、かなり鮮明に覚えているのです。氏の台詞を語る危うさも手伝って(?)、わたしは何度も笑った笑った。すまさんが今もご存命で、今回の上演をご覧になられたら、どんな感想を話されるだろう?
 2019年のキノG-7旗揚げ公演時、わたしは「あと3年、あと5本」と宣言。要するに、「あと3年で作品5本を上演したらキノG-7は解散」という意味ですが、コロナ感染のせいで歯車が狂い、去年の「モナ美」は4本目だけれど3年目になったから、これで終わりにしようと当初は思っていたのですが、想定以上に「モナ美」が<笑えて泣けた>ので、今回の「満ちる」は5本目なのですが、来年の2月にはキノG-7の6作目となる「ユートピアたより」(作・殿井歩)を上演致します。アララ⁈
 はてさて。今回の「満ちる」をご覧になられた皆さまの感想はいかに?
 本日はご来場、誠にありがとうございました。

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